【V6ハイブリッドで1200ps】 F40やエンツォの血統を受け継ぐスペチアーレ最新作、フェラーリF80登場!

公開 : 2024.10.18 10:35

288GTOに始まり、F40、F50、エンツォ、ラ フェラーリと歴史の節目に登場してきた、スペチアーレと呼ばれる特別なフェラーリたち。その最新作となるF80が登場しました。元フェラーリ専門誌編集長の上野和秀が解説します。

新たなスペチアーレ登場

1984年のGTOに端を発し、ラ フェラーリに至るフェラーリのスペチアーレ・モデルだが、新たな時代の思想とレース由来のテクノロジーで武装したF80が姿を現した。

車名はF40F50以来のスペチアーレ・モデルを象徴する、周年を意味する2桁の数字とフェラーリのイニシャルであるFを組み合わせる構成が復活した。

フェラーリF80
フェラーリF80    フェラーリ

F80ではスペチアーレ・モデル初となる3.0リッターV6ターボ+ハイブリッドのパワートレインが採用され、統合出力はフェラーリのロードカー史上最大の1200psを発揮する。

最高速度は350km/h、0-100km/h加速は2.15秒と最新のスペチアーレに相応しいパフォーマンスを有する。スペチアーレ・モデルの伝統に則り、F80の生産台数は限定799台と発表された。

統合出力は1200ps

F80 のパワートレインは、レースからのフィードバックにより開発された。現在のF1マシンとWEC用の499Pは、V6エンジンと800Vのハイブリッド・システムを使用し、この構成がF80に転用された。

ミッドに搭載される3リッター、挟角120°のF163CF型 V6ターボ・エンジンは、900psの最高出力を発揮。ここに電動フロント・アクスル(e-4WD)とリア・モーター(MGU-K)によるハイブリッド・システムの300psを加え、統合出力1200psに達する。

F80のキャラクターを鑑み、PHEVではなくHVが選択された。ここに8速デュアルクラッチF1 DCTが組み合わせられる。

新たなメカニズムとしては、フェラーリで初となる電動ターボ(e ターボ)が導入された。電動化により低回転域からの瞬時のレスポンスを可能としている。

モータースポーツからの知見を活かしたシャシー

センタータブとルーフはカーボン・ファイバーのコンポジット製。前後サブフレームはアルミニウム製で、チタン製ボルトでタブに固定される。

ボディシェルはF1などモータースポーツで使われる技術を採用し、プリプレグ・カーボン・ファイバーで成形し、オートクレーブで硬化処理したものが用いられる。

フェラーリF80
フェラーリF80    フェラーリ

ドアはラ フェラーリと同様にバタフライ・タイプが採用され、2 軸で回転するヒンジ機構により、ほぼ90°の角度まで縦方向に開く。

プロサングエで始まるアクティブ・サスペンション・システムは、F80のキャラクターに合わせて再設計。考えられるあらゆる状況でダウンフォースを最適にマネージメントする。

新たなデザインを創生

これまでのフェラーリとは全く異なるエクステリア・デザインがF80の特徴だ。未来的なインパクトのあるスタイリングと、低められたキャビンを前進させたレイアウトは、新たなデザイントレンドといえる。

デザインは、フラヴィオ・マンツォーニ率いるフェラーリ・スタイリング・センターのチームが担当した。F80 のフロントから人間の顔を思わせる要素を排除するため、ヘッドライトはバイザー・エレメントで隠される。このブラック・スクリーンは、エアロダイナミクスと照明の機能を合わせ持ち、F80の外観を極めて独創的なものにしている。

フロント・フェンダー後端には垂直なパネルがドアから分離してそびえ立ち、F40のデザイン的特徴を取り入れている。

アクティブ・リアウィングやリア・ディフューザー、フラット・アンダーボディ、トライプレーン型フロントウィング、Sダクトなどが連携し、車速 250 km/hで1050 kgのダウンフォースを発生する。

記事に関わった人々

  • 執筆

    上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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