【詳細データテスト】アルピナB3 さらに増した力強さ 高まったハンドリングの精度 全天候型の速さ

公開 : 2025.01.18 20:25

操舵/安定性 ★★★★★★★★★☆

もしも標準仕様のB3と乗り比べできれば、GTの精密さが明確にわかることは確実だ。しかし、振動の遮断についてはさほど変わらない。

その原因は主にステアリングだ。ラックのギア比や手応えはどちらもうまく決められていて、まったく扱いづらいところはないのだが、ややコミュニケーションが足りないよそよそしさは改善されていなかった。

コーナリングの刺激を追求するならM3をおすすめするが、無理の効く速さと快適な乗り心地なら断然B3に軍配が上がる。
コーナリングの刺激を追求するならM3をおすすめするが、無理の効く速さと快適な乗り心地なら断然B3に軍配が上がる。    JACK HARRISON

コーナーへの進入は忠実で正確だが、それより脱出は楽しく、無頓着にできる。とくにそれは、ウェットコンディションでわかる。それに対し、M3ツーリングはもっとハングリーで鮮烈にターンインする。

もっともそれは、結局のところ小さな問題だ。それ以外にはケチのつけようがない。3.3秒で0-97km/hに達しながら、これほど従順に走るクルマは滅多にない。サスペンションは、スポーツプラスモードを選べば、ボディコントロールを失わずに荒れたB級道路を突っ走る。そのマナーは、はっきりわかるほど洗練されたものだ。

二元性もある。湿った路面で強引に入力しても、絶対的なトラクションとスタビリティで応えてくれるが、もっと慎重に運転すれば、すばらしいヨーの移行と持ち前のアジャスト性で満足させてくれる。悪天候でも本領を発揮し、まるで日々使えるスーパーカーだ。

さらに、2点間の移動ペースはM3と同じくらいだとしても、長距離ではMスポーツ仕様のスプリングを装着したM340iなど足元にも及ばないほど快適だ。アルピナはこのGTで走りのダイナミックさを多少犠牲にしたが、それを不満に思うオーナーはほとんどいないだろう。GTであろうが標準モデルであろうが、B3は一日800km走るのも苦ではない。

記事に関わった人々

  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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