V12は幻の「XJ13」由来 ジャガーXJ-S 21年作られた大猫(1) 製造品質が乱した所有体験

公開 : 2025.02.09 17:45

信頼回復で復調 追加になったカブリオレのSC

信頼を回復すべく、ジャガーのトップへ就任したのがジョン・イーガン氏。品質改善が推し進められつつ、XJ-Sには大幅なアップデートが施された。

1977年式から、ATはアルミニウムで軽量に仕上がっていた、GM社製のターボハイドラマティック400へ置換。インジェクションも改良を受けた。

ジャガーXJ-SC HE(1983〜1988年/英国仕様)
ジャガーXJ-SC HE(1983〜1988年/英国仕様)    ジョン・ブラッドショー(John Bradshaw)

1981年には、ハイ・エフィシェンシーの略となるXJ-S HEが登場。5.3L V12は新しいシリンダーヘッドを獲得し高圧縮比化され、最高出力は300psへ、最大トルクは43.8kg-mへ向上している。混合気が希薄化され、燃費は12%上昇した。

さらにインテリアは、フルレザーになりウッドパネルを獲得。アルミホイールはワイドになり、サスペンションにも手が加えられた。これらの効果はすぐに現れ、販売は回復。1982年には、XJ-Sの生産量は倍増している。

充分な人気を得たことで、1982年に加わったのがカブリオレのXJ-SC。+2のリアシートとバットレスを失っているが、ルーフレールが与えられ、サイドウインドウはそのまま。リア側に、ファブリック製ソフトトップを収納する空間が設けられている。

フロントシートの上側は、2枚のルーフパネルで構成。これは、荷室へ収納することができた。完全なカブリオレではないが、すべて開くとかなりの開放感を得られる。6年間に約5000台が作られ、約2200台が現存している。

この続きは、ジャガーXJ-S 21年作られた大猫(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

ジャガーXJ-S 21年作られた大猫の前後関係

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