【9代目はワゴン専用】新型フォルクスワーゲン・パサートを800kmテスト!今こそ見直したいSUVとは違う魅力

公開 : 2025.02.27 11:25

優れたDCCプロ

新型パサートにはDCCプロがグレードによって標準、あるいはオプションで装備される。これはKYB製の2バルブショックアブソーバーで、簡単にいうと伸び側と縮側の減衰力が別々に調整でき、かつ、それを四輪それぞれで電子制御できる優れものだ。

例えばゆっくりと段差を超えるときは縮側を柔らかく、伸び側を硬くすることで、乗り心地とボディを安定させる。さらに、コーナリング時の外輪は縮側、内輪は伸び側になるので、それぞれふたつのバルブで個々にボディを安定させることができるのだ。

DCCプロのセッティング変更画面。カスタムではステアリングなど各項目も調整可能だ。
DCCプロのセッティング変更画面。カスタムではステアリングなど各項目も調整可能だ。    山本佳吾

そこに加え、パサートでは電子制御ディファレンシャルロック(XDS)と協調制御される。XDSはコーナリング時に駆動輪内側のスリップを検知すると、その車輪に軽くブレーキを『摘まむ』ことで駆動力を回復させるもの。

これらを組み合わせると、コーナリング時にギャップがあった際にはDCCプロで瞬時に減衰を変化させて不要な姿勢変化を避け、かつ、XDSでスリップを避けることもできるのだ。こうすることで乗り心地の向上だけでなく、ボディを安定させ、結果としてタイヤの接地性を向上させることに繋がるのである。

電子制御ならではの技

DCCプロは15段階で減衰を変えることが可能で、それぞれのポジションで試してみた結果、パサートに相応しい乗り心地は最も柔らかいところだと感じた。そしてさらにステアリングをスポーツにすることで、ハンドリングの正確性を担保することもできた。

ただし、これまでRラインやBMW Mスポーツなど少しスポーティなグレードに親しんできた方は、DCCプロを真ん中あたりにするとちょうど良いだろう。また、興味深いのは、Rラインでは最も柔らかいポジションでも、エレガンスと比較すると若干固めの乗り心地になることで、そのグレードの特性に合わせてセッティングを変えているのは好ましく感じ、電子制御ならではの技だと感じた。

あえて3つものパワートレインを導入したフォルクスワーゲンの意気込みは高く評価したい。
あえて3つものパワートレインを導入したフォルクスワーゲンの意気込みは高く評価したい。    山本佳吾

最後に燃費について触れておこう。( )内はWLTCモード値となる。
市街地:14.1km/L(13.0m/L)
郊外:17.1km/L(17.6km/L)
高速:18.5km/L(20.2km/L)
高速燃費こそWLTCモード値に届かなかったものの、マイルドハイブリッドとしては全体を通して評価したい値だ。

そして、若干シュリンク気味のステーションワゴン市場に、あえて3つものパワートレインを導入したフォルクスワーゲンの意気込みは高く評価したい。これまでパサートを親しんできた人たちは保守的な層が多いが、そういう人たちはもちろん、SUVに食傷気味な層にはもってこいの1台だろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    内田俊一

    Shunichi Uchida

    日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も得意であらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。現在、車検切れのルノー25バカラとルノー10を所有。
  • 撮影

    山本佳吾

    Keigo Yamamoto

    1975年大阪生まれ。阪神タイガースと鉄道とラリーが大好物。ちょっとだけ長い大学生活を経てフリーターに。日本初開催のWRC観戦をきっかけにカメラマンとなる。ここ数年はERCや欧州の国内選手権にまで手を出してしまい収拾がつかない模様。ラリー取材ついでの海外乗り鉄旅がもっぱらの楽しみ。格安航空券を見つけることが得意だが飛行機は苦手。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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