19インチじゃダメ? メルセデスAMG CLE 53 長期テスト(3) 開放的なコンバーチブル

公開 : 2025.04.19 09:45

積算5006km 一層珍しくなったコンバーチブル

コンバーチブルの選択肢は、めっきり少なくなった。20年ほど前までなら、日産マーチプジョー206でも、オープンカーを選べたのに。そのため、近年のコンバーチブルは一層特別な雰囲気を放っているように思う。

10年ほど前までは、コンバーチブルにリトラクタブル・ハードトップが載っていることが珍しくなかった。しかし、それも過去のアイテムになりつつある。最近はクラシカルでエレガントな、ソフトトップが主流になっている。

代車で来たメルセデス・ベンツUKはCLE 450 4マティック AMGライン・カブリオレ(英国仕様)
代車で来たメルセデス・ベンツUKはCLE 450 4マティック AMGライン・カブリオレ(英国仕様)

メルセデス・ベンツも、コンバーチブルの選択肢はだいぶ減った。現在は、CLE カブリオレとSLの2択だけ。後者はスーパーカーに近い。毎日の乗りやすさを考えると、前者ということになるだろう。

同僚のイリヤ・バプラートがパンクさせ、修理が終わるまでの間、メルセデス・ベンツUKはCLE 450 4マティック AMGラインのカブリオレを貸し出してくれた。天気の良いタイミングと重なり、陽光を浴びて、ビタミンDの生成に励めた。

クーペと同じくらい、CLEのカブリオレも美しい。妖艶な雰囲気は、自然と通行人の視線を集める。レッドのルーフにタンのレザーという組み合わせは、少し派手かもしれないが、魅力的なことは間違いない。

開放的な雰囲気との悪くないトレードオフ

洗練度は非常に高い。3.0L直6エンジンは、驚くほどストレスフリー。オープン状態でも、車内は平穏が維持される。シートはゆったりしていて、サポート性も高く、リラックスできる。シートヒーターが心地良い。

路面の凹凸ではクーペ以上の車重を感じさせるものの、開放的な雰囲気との悪くないトレードオフといえる。動的能力が劣るような印象は、ほぼない。

メルセデスAMG CLE 53 4マティック+ クーペ・ナイトエディション・プレミアムプラス(英国仕様)
メルセデスAMG CLE 53 4マティック+ クーペ・ナイトエディション・プレミアムプラス(英国仕様)

基本的には広い荷室は、ソフトトップを開くと流石に制限される。荷物を積む場合は、格納時に干渉しないよう注意が求められる。

メルセデス・ベンツはCLEの開発へ手を抜かず、特別な雰囲気へ浸れるコンバーチブルが実現している。適度にシンプルで、非常にコンフォート。AMG CLE 53にも、ソフトトップ版が登場するらしい。パンクはゴメンだが、こちらにも1度乗ってみたい。

テストデータ

気に入っているトコロ

長いサイドドア:多くのクルマの場合、ドライバーの顔はセンターピラーへかかる。しかし2ドアのAMG CLE 53はドアが長く、すぐ横が良く見える。

気に入らないトコロ

扁平タイヤ:265/35 R20ではなく245/45 R19のタイヤなら、パンクのリスクが減り、乗り心地も改善するはず。お値段も、100ポンド(約2万円)は落とせる。

テスト車について

モデル名:メルセデスAMG CLE 53 4マティック+ クーペ・ナイトエディション・プレミアムプラス(英国仕様)
新車価格:7万8825ポンド(約1537万円)
テスト車の価格:8万1445ポンド(約1588万円)

テストの記録

燃費:9.9km/L
故障:左フロントのパンク
出費:323ポンド(約6万3000円)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    役職:編集者
    自動車業界で10年以上の経験を持つ。欧州COTYの審査員でもある。AUTOCARでは2009年以来、さまざまな役職を歴任。2017年より現職の編集者を務め、印刷版、オンライン版、SNS、動画、ポッドキャストなど、全コンテンツを統括している。業界の経営幹部たちには定期的にインタビューを行い、彼らのストーリーを伝えるとともに、その責任を問うている。これまで運転した中で最高のクルマは、フェラーリ488ピスタ。また、フォルクスワーゲン・ゴルフGTIにも愛着がある。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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