買える望みは「ミニカー」だけ? マクラーレンF1 UK中古車ガイド 史上最高のロードカー

公開 : 2025.04.25 19:05

購入時に気をつけたいポイント

トランスミッション

6速MTは、636psのV12エンジンを許容する耐久性を備えるものの、負荷は小さくない。滑らかに変速できるか確かめたい。クラッチはカーボンファイバー製。信頼性が高いとはいえ、若干滑りやすい。交換には数万ポンド(数100万円)が必要になる。

ブレーキ

標準のパッドとディスクは高性能。パッドは、2万4000km毎の交換が指定されている。マクラーレンのクラシックカー部門、MSOヘリテイジはパッド素材の改良を重ねており、最新アイテムはペダルの感触に優れるという。

定期メンテナンス

マクラーレンF1(1992〜1998年/英国仕様)
マクラーレンF1(1992〜1998年/英国仕様)

MSOヘリテイジによる点検整備は綿密で、合計85時間を要する。エンジンを降ろし、燃料タンクやホース、消耗品が一式交換される。またエンジンやトランスミッション、サスペンション、補機類はオーバーホールされる。ダンパーは、10年毎に交換とのこと。

作業が終わると、グレートブリテン島中南部のミルブルック自動車試験場へ持ち込まれ、走行テストを実施。作業終了の承認が行われる。

ボディとインテリア

カーボン製ボディに擦り傷などがないか、丁寧に観察したい。シャシーも含めて、修理には想像以上の費用が必要になる。

エンジンルーム内には、熱を反射しボディパネルを保護する目的で、金箔が貼られている。整備の際に交換されることが一般的。貼り直すのに、18時間程度は必要とのこと。

中央の運転席のサイドボルスターは、乗降時に身体が当たりすり減りがち。

知っておくべきこと

横に3列並んだシートの中央に、運転席がある。ドアからは遠い位置で、スムーズな乗り降りには練習が必要といえる。

英国や日本では左側のドアを開き、助手席へ一度腰を下ろし、右足を運転席側へスライド。腕で身体を持ち上げつつ、左足もペダル側へ移動し、腰から運転席へ座るという方法が一般的だという。慣れれば簡単かもしれない。

マクラーレンF1(1992〜1998年/英国仕様)
マクラーレンF1(1992〜1998年/英国仕様)

F1を落札する場合は、純正のツールボックスとサービスマニュアルがセットになった、レザーケースが付帯することを確かめたい。貴重なアイテムだ。

純正のガソリンタンクはケブラー製だが、英国のランザンテ・モータースポーツ社は、アルミニウム製のタンクを開発している。これなら、5年毎の交換は不要。採用を前向きに考えて良いだろう。

英国ではいくら払うべき?

1万7000ポンド(約332万円)以下

マクラーレンF1で現実的なのは、ミニカー。ホットホイールなら数ポンド(数100円)で探せるが、職人がハンドメイドするアマルガム社製のスケールモデルは絶品。1/8スケールで、芸術品のように精巧に出来ている。

1500万ポンド(約29億2500万円)〜2499万ポンド(約48億7499万円)

本物のF1の交渉権を得られる価格帯。年式や走行距離によって落札額には幅がある。状態もまちまちだ。

2500万ポンド(約48億7500万円)以上

マクラーレンF1(1992〜1998年/英国仕様)
マクラーレンF1(1992〜1998年/英国仕様)

走行距離の短い、極上状態のF1がご希望ならこの価格帯から。幸運なら、珍しいF1 GTRも狙えるだろう。

英国で掘り出し物は発見できず

シャシー番号29のF1は、2024年5月に非公開で落札されているが、執筆時に出品中のF1は英国に存在しなかった。2021年には、走行距離400kmの1台が1482万5000ポンド(約28億9088万円)で落札されているが、最近の相場は上昇中。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サム・フィリップス

    Sam Phillips

    役職:常勤ライター
    AUTOCARに加わる以前は、クルマからボート、さらにはトラックまで、EVのあらゆる側面をカバーする姉妹誌で働いていた。現在はAUTOCARのライターとして、トップ10ランキングや定番コンテンツの更新、試乗記や中古車レビューの執筆を担当している。最新の電動モビリティ、クラシックカー、モータースポーツなど、守備範囲は広い。これまで運転した中で最高のクルマは、1990年式のローバー・ミニ・クーパーRSP。何よりも音が最高。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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