【渡辺敏史が試乗】仕立てのいいスーツの下は筋骨隆々!007の世界観を地で行くアストン マーティン・ヴァンキッシュ

公開 : 2025.05.04 11:45

身悶えるような突き進みっぷり

一方、お察しの通りで完全に一線を画しているのが動力性能だ。全開加速はさすがにタイヤの撓みが伝わるほど強烈で、身悶えるような突き進みっぷりに火力の凄まじさが伺い知れる。

通常であれば1000NmをFRで抑え込むのは相当に難儀な話だが、無粋な電子制御の介入はできるだけ控えたいのだろう。結果的にスポーツカーらしい手強さや野性味がインターフェースを通じて感じられた。仕立てのいいスーツの下は筋骨隆々……と、まさしく007の世界観を地で行くかのようだ。

アウトプットは835ps/1000Nm! 全開加速は強烈で、火力の凄まじさが伺い知れる。
アウトプットは835ps/1000Nm! 全開加速は強烈で、火力の凄まじさが伺い知れる。    内藤敬仁

が、その実、操縦性にはトリッキーなところはまったくない。どころか、コーナリングの振る舞いは至って素直だ。アクセルコントロールに対するトルクデリバリーは至ってリニアな上、操舵側も駆動側も接地感はしっかりと伝わってくるので、大きな体躯を持て余すことなく、自信をもって運転に臨むことができる。

操舵応答にも神経質なところはなく、切り増すほどにじわじわとゲインを高めていく味付けで、車体の動きを細密に管理しやすい。さりとて腕利きが振り回すにもかったるさを感じることはない、そういう絶妙な味付けだ。

エンジンの回転フィールも7000rpmの直前まで軽やかに吹き抜けてくれるし、それに伴ってのパワーもターボユニットらしからぬ伸びやかさが感じられる。そこに伴ってのサウンドも、DB11DB12とやや趣が異なり、中高音の心地よさが印象的だ。もちろん、数的な主力たるV8とは明確な差別化が図られている。

パワートレインの多様化によって内燃機自体の存在感が揺らぐ中、ヴァンキッシュは12気筒専用車として、年間生産数は限られるも継続的に販売される目論見だ。そんなモデルに宿るのは、英国のスポーツカーの雄として、何としても伝統を継承するというプライドなのだろう。

アストン マーティン・ヴァンキッシュ(欧州仕様)のスペック

英国価格:33万ポンド(約6402万円)
全長:4890mm
全幅:1981mm
全高:1290mm
最高速度:344km/h
0-100km/h加速:3.3秒
燃費:7.3km/L
CO2排出量:312g/km
車両重量:1910kg
パワートレイン:V型12気筒5204cc ツインターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:835ps/6500rpm
最大トルク:101.8kg-m/2500-5000rpm
ギアボックス:8速オートマティック(後輪駆動)

UK編集部の取材では価格33万ポンドとしているが、日本市場は価格非公開となっている。
UK編集部の取材では価格33万ポンドとしているが、日本市場は価格非公開となっている。    内藤敬仁

記事に関わった人々

  • 執筆

    渡辺敏史

    Toshifumi Watanabe

    1967年生まれ。企画室ネコにて二輪・四輪誌の編集に携わった後、自動車ライターとしてフリーに。車歴の90%以上は中古車で、今までに購入した新車はJA11型スズキ・ジムニー(フルメタルドア)、NHW10型トヨタ・プリウス(人生唯一のミズテン買い)、FD3S型マツダRX-7の3台。現在はそのRX−7と中古の996型ポルシェ911を愛用中。
  • 撮影

    内藤敬仁

    Takahito Naito

    1986年よりフリーランスカメラマンとして主に車関係の雑誌、広告の撮影に携わる。趣味は洗車。好きな音楽は1970年代のブリティッシュロック。たまにロードバイクでサイクリンロードを走って風圧と老化に抵抗したりする。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

今こそ乗りたい!英国の最新スポーツカーたち2025の前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事