【現役デザイナーの眼:トヨタRAV4】ハンマーヘッドの呪縛?腑に落ちないフロント周り

公開 : 2025.06.04 11:45

メーカーによるデザインの統一は誰のため?

自動車の顔まわりのデザインをメーカーで統一しようという動きは、一部の国内メーカーで15年くらい前から浸透してきました。一見してどこのメーカーの車種なのかが分かる事で、メーカーそのものの価値向上に繋がると考えられているのですが、果たしてそうでしょうか?

確かにプレミアムブランドなら分かります。例えばメルセデス・ベンツは、顔だけでなくプロポーションの作りから面質線質まで、全ての車種で統一感を出しています。それにより、Aクラスでも「メルセデスを買った」という満足感を得られるんですね。

『Adventure』のフロント周り。ハンマーヘッド以外のデザインだったら、どんなものになったのだろう?
『Adventure』のフロント周り。ハンマーヘッド以外のデザインだったら、どんなものになったのだろう?    トヨタ

しかし、特にトヨタのようにフルラインナップを揃える量産メーカーのブランドでは、市場によってはむしろ足枷になったりしないでしょうか。

ファッションでも、一見してファスト・ファッションに見えない方が嬉しいのと同じように、ユーザー視点で見ると、その車種に合った固有の顔の方が嬉しいのではと思いますが、皆さんはいかがでしょう。

今回のRAV4を見ると、顔まわりのデザインについては、RAV4固有の価値向上というより、トヨタにおけるラインナップの統一性を重視しているように思います。

ハンマーヘッドという汎用が難しいモチーフを、クラウンプリウスからbZシリーズまで、よく車種ごとにまとめる事ができるな、と、トヨタ・デザインには毎回驚かされています。ですが、今回のRAV4に関しては、統一するにしてももう少しデザインの幅を持たせた方が、より良い顔まわりなったのでは思いますし、個人的には、現場のデザイナーをハンマーヘッドの呪縛から解放させてあげたい、とさえ感じてしまいます。

記事に関わった人々

  • 執筆

    渕野健太郎

    Kentaro Fuchino

    プロダクトデザイナー兼カーデザインジャーナリスト。福岡県出身。日本大学芸術学部卒業後、富士重工業株式会社(現、株式会社SUBARU)にカーデザイナーとして入社。約20年の間に様々な車をデザインする中で、車と社会との関わりをより意識するようになる。主観的になりがちなカーデザインを分かりやすく解説、時には問題定義、さらにはデザイン提案まで行うマルチプレイヤーを目指している。

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