個性が強いフランスの高級車 19選 「独自路線」の成功と失敗

公開 : 2025.06.21 18:25

ルノー・ヴェルサティス((2002年)

『ヴェルサティス』は、従来の高級セダンとは異なるコンセプトを持つクルマだった。確かにセダンには見えない。高い車高と、まるでミニバンのようなシルエットを採用し、当時道路を走る他のクルマとは全く異なるデザインだった。

ルノーは当初、ヴェルサティスの約2年前にアヴァンタイムを発売する予定だったが、前述のように延期された。そのため、2台はほぼ同時に登場することになる。ディーラーを訪れた購入希望者は、どちらがルノーの真のフラッグシップモデルなのか理解できなかった。ルノーは、このクラスのクルマで受け入れられるデザインの「大胆さ」のレベルを完全に過大評価していた。

ルノー・ヴェルサティス((2002年)
ルノー・ヴェルサティス((2002年)

ヴェルサティスは6万2000台強が販売された後、2009年に生産終了となった。これに対し、サフランは31万台も売れている(販売期間は1年だけ長い)。

シトロエンC6(2005年)

XMは後継車の発表もないままに生産終了した。シトロエンは高級車クラスから撤退したとの懸念が広がる中、2005年のジュネーブ・モーターショーで『C6』がデビューする。1999年に発表された衝撃的なコンセプトカー『C6リナージュ』から多くのデザイン要素を引き継ぎ、かつてのCXを彷彿とさせる流線型のボディと凹型のリアウィンドウを採用した。インテリアは、ヘッドアップディスプレイや車線逸脱警報システムなどのハイテク装備を揃えた豪華な仕上がりであった。

シトロエンは、C6の年間販売台数の目標を約3万台としていた。もし、この目標を達成すれば、販売台数はXMとほぼ同水準となるはずだった。しかし、実際には2007年の7600台がピークで、2012年までの総販売台数は2万3500台を下回った。C6もまた、後継車の発表もなく廃止された。

シトロエンC6(2005年)
シトロエンC6(2005年)

シトロエンDS 5(2011年)

シトロエンは2005年のフランクフルト・モーターショーで『Cスポーツラウンジ』というコンセプトカーを発表した。長い時間を経て、デザインは進化していったが、量産バージョンでも全体のプロポーションはほぼ同じだった。『DS 5』はC6の生産終了後、シトロエンのフラッグシップモデルとなった。プラットフォームはプジョーの3008や5008と共有していたため、V6エンジンを搭載することはできなかった。代わりに、最高出力200psのディーゼルハイブリッドをラインナップに加えた。

やがて、DSが独立ブランドとなった2015年にシトロエンのエンブレムを返上した。新しい名称とともに、グリルなどの外観も若干変更された。DS 5は快適で実用的なクルマだったが、ライバルの高級車に勝つことはできなかった。生産は2018年5月に終了した。

シトロエンDS5(2011年)
シトロエンDS5(2011年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    ロナン・グロン

    Ronan Glon

  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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