個性が強いフランスの高級車 19選 「独自路線」の成功と失敗
公開 : 2025.06.21 18:25
モニカ560(1972年)
ファセル・ヴェガが消滅してから数年後の1960年代後半、フランスの実業家ジャン・タステヴァン氏は、ジャガー、マセラティ、メルセデス・ベンツを凌ぐ超高級セダンを製作するという大事業に着手した。元F1ドライバーのクリス・ローレンス氏が設計を手伝い、タステヴァン氏の妻モニークにちなんで『モニカ』と命名し、エンジン排気量から『560』を付け加えた。
モニカ560は 1972年のパリ・モーターショーで初めて公開され、1年後に量産バージョンがデビューした。初期の試作車は、大きくなったパナールCDのような外観で、テッド・マーティン氏が設計したV8エンジンを搭載していた。量産バージョンでは、現代的なウェッジシェイプのボディと、クライスラー製の5.6L V8エンジンを採用した。

560は、シトロエンSMと同様、生まれる時代を誤ったクルマだった。1973年の石油危機により、大型で経済性の悪いセダンの需要は急落。また、フランス政府は厳しい速度制限を発表・施行し、高性能車の購入意欲を削いだ。それにもかかわらず、タステヴァン氏はプロジェクトを推進し、560の価格をロールス・ロイス・シルバーシャドウと同じレベルに設定。生産は1974年に始まり、1年後に終了した。ほとんどの専門家は、生産された標準モデルは17台以下だと考えているが、実際の数はもっと少ないという意見もある。
シトロエンSMオペラ(1972年)
フランスの超高級車セグメントを復活させようと試みた野心的な企業は、モニカだけではなかった。コーチビルダーのアンリ・シャプロン氏は、シトロエンSMをベースにした2台のオープントップリムジンをフランス政府向けに製作した後、ルーフを閉じた4ドアモデルの開発を進めた。そして、『SMオペラ』と名付けたモデルを1972年のパリ・モーターショーで発表する。
SMオペラは、わずか8台しか販売されず、シトロエンSMと同時期の1975年に生産を終えた。ここで紹介されている個体は、2009年のオークションで約20万ユーロ(約3300万円)で落札されたものだ。

シトロエンCX(1974年)
シトロエンDSの生産が20周年を迎える直前、新型の『CX』が発売された。当初は、最高出力160psの3ローターのヴァンケルエンジンを主力ユニットとして採用する予定だったが、燃費と信頼性の問題から最終段階で計画変更。シトロエンは複数のV6エンジン(SMに搭載されたものや、後にプジョー・ルノー・ボルボが開発したものなど)を採用できる状況だったが、CXのエンジンルームには搭載スペースが足りなかった。
それにもかかわらず、CXは長く輝かしいキャリアを築いた。広々としたステーションワゴン、後部ドアパネルにシガーライターが装備されたロングホイールベースのリムジン、そして驚くほどスポーティなGTiバージョンなど、いくつかのバリエーションが生まれた。1980年代、中国当局はCXの購入をほぼ確定していたが、油圧式サスペンションを検証した結果、採用を見送ったと伝えられている。代わりに採用されたのは、フォルクスワーゲン・サンタナだった。

画像 一度ハマったら抜け出せない、奥深いフランス車の魅力【シトロエンC6、プジョー604、ルノー16を詳しく見る】 全51枚





















































