個性が強いフランスの高級車 19選 「独自路線」の成功と失敗
公開 : 2025.06.21 18:25
ルノー・サフラン(1992年)
ルノーが1980年代末までに25の後継車を投入するという噂が、プジョーとシトロエンを駆り立て、605とXMの市場投入を急がせた……と言われている。しかし噂は誤りで、サフランは1992年にデビューした。内外装ともに先代モデルとのつながりをほとんど断ち切ったデザインだった。
ライバル各社と同様、ルノーもドイツ勢のテリトリーに進出しようと考えていた。そのために、3.0LのツインターボV6エンジンを搭載した最上位モデル『ビターボ』を発売。最高出力262ps、5速マニュアル・トランスミッション、四輪駆動という装いであった。

ルノーは約800台を販売した後、1996年にビターボの生産を終了した。サフランは2002年まで同社のラインナップの頂点に君臨した。
プジョー607(1999年)
プジョーは605のプラットフォームの改良版で『607』を開発した。1999年に発売されたが、プロトタイプを試乗したフランスのジャーナリストたちがそのハンドリングを「壊滅的」と評し、悲惨なスタートを切った。片輪でコーンを周る607の写真が、欧州各地の雑誌の表紙を飾った。大至急、サスペンションとタイヤの改良が行われ、なんとか危機を脱した。
607は、2000年から2010年にかけて16万8875台生産された。605(約25万台)ほどは売れなかったが、シトロエンC6やルノー・ヴェルサティスよりもはるかに良い成績を残した。

ルノー・アヴァンタイム(2001年)
ルノーは、1999 年のジュネーブ・モーターショーで、クラスの概念を覆すコンセプトカー『アヴァンタイム』を発表し、世間を驚かせた。これは4代目エスパスを予告するものだろう、と推測する人もいた。その推測はある意味当たっているが、1999年のフランクフルト・モーターショーでついに量産バージョンがデビューした。
意見が分かれるデザインは、他の高級クーペから一線を画すためのものであった。アウトバーンを疾走するクルマではなく、都市部の環状道路をクルーズするクルマだった。ルノーはマトラに2000年初頭の生産開始を依頼したが、開発過程で浮上した問題の解決のため、発売は何度も延期された。特に、ドアの長さが140cm、重量が50kgを超えるため、ダブルヒンジが必要だった。

発売が遅れ、高価で、製造品質も粗削りだったアヴァンタイムは、販売につまずき、立ち直ることができなかった。発売からわずか16か月、2003年初めにアヴァンタイムの生産が終了。生産台数は8557台であった。マトラは、その後まもなく工場を閉鎖、2500人の従業員を解雇し、以来、乗用車の生産から手を引いている。アヴァンタイムはスタートから転けてしまい、そのまま起き上がることなく幕を閉じたが、今日のコレクターズカーの世界では一定の地位を確立している。
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