【現地開発主義でヒット中】トヨタbZ5に現地試乗!中国で花咲く新型5ドアクーペSUV

公開 : 2025.07.25 11:45

中国市場でシェアを奪われ続けてきた日本勢に追い風です。トヨタbZ3X、日産N7が、6月の合弁系BEV販売台数ランキングでトップ2を飾りました。5月に発売されたトヨタの新作『bZ5』を中国車研究家の加藤ヒロトが紹介します。

合弁系BEV販売台数ランキングトップ2

中国市場でシェアを奪われ続けてきた日本勢に、追い風が吹いている。3月にトヨタが発売した『bZ3X』、4月に日産が発売した『N7』は、6月の合弁系BEV販売台数ランキングでトップ2を飾った。

bZ3Xは2024年に発表された広汽トヨタ(広州汽車との合弁)のSUVで、中国で人気の運転支援機能を盛り込みながらも、トヨタ特有の高い安全性と約230~330万円という低価格が話題を呼び、3月の予約開始時には1時間で1万件を受注する人気ぶりを見せた。

現地開発主義によって生まれた、トヨタbZ5に現地で試乗。
現地開発主義によって生まれた、トヨタbZ5に現地で試乗。    加藤ヒロト

これまでに1万8000台以上が納車済みだが、まだ1万人以上のカスタマーが納車を待つ状況となる。

以前はグローバルモデルをそのまま導入したり、ガソリン車ベースのBEVを販売していた日本勢だが、それでは中国消費者の需要に応えられていなかった。その反省を活かし、合弁相手との協力を通じて何が求められているかをしっかりと理解。

さらに、合弁相手から流用できるところは流用する低コスト化による『現地開発主義』によって、トヨタや日産のヒット作が生まれた。今回ご紹介するのは同じ手法で誕生し5月に発売された、一汽トヨタ(第一汽車との合弁)の『bZ5』だ。

2度目の挑戦

実は、一汽トヨタが中国専売、専用設計BEVを世に送り出すのはこれが初めてではない。2023年にBYDとの合弁会社『BYDトヨタEVテクノロジー』(BTET)を通じて開発した、『bZ3』を発売している。

bZ3はバッテリーやモーターに加え、プラットフォームの前3分の1にBYDの技術が取り入れられている。2023年3月に発売されて以来、これまで月平均3000台ほど、多い時は6000台近く販売する月もあった。

ボディサイズは全長4780mm、全幅1866mm、全高1510mm。
ボディサイズは全長4780mm、全幅1866mm、全高1510mm。    加藤ヒロト

しかし、高い質感ながらも正直なところ没個性であり、価格は約350万円からスタートと、中国の消費者が喜びそうな装備や機能も少ないBEVにしては強気だった。なお、現在は値引きされて約250万円前後から販売されている。

bZ5は、bZ3よりも大きい5ドアのクーペSUVとなった。さらには中国の自動運転ベンチャー『momenta』と共同開発したレベル2+の運転支援機能を搭載する点も、需要をしっかり捉えていると言える。

ボディサイズは全長4780mm、全幅1866mm、全高1510mm、ホイールベース2880mmと、日本の基準で考えると大きい。しかし狭い路地でも取り回しはしやすく、なおかつLiDARが対象物との距離を計測して教えてくれるので不安は感じない。

なお、モーターとバッテリーはbZ3同様にBYD製で、バッテリーは容量65.28 kWhと73.98 kWhの2種類。それぞれの航続距離は、中国独自のCLTC方式で550km、630kmとしている。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    加藤ヒロト

    Hiroto Kato

    山口県下関市生まれ、横浜在住。慶應義塾大学環境情報学部に在学するかたわら、各自動車メディアにて「中国車研究家」として中国の自動車事情について「クルマ好き」の視点で多様な記事を執筆する。また、自費出版で中国モーターショーのレポート本「中国自動車ガイドブック」シリーズも手掛けている。愛車は1998年型トヨタ カレンと1985年型トヨタ カリーナED。

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