英エルズミア・ポート工場の復活を支えた救世主 ダイアン・ミラー氏:編集長賞【AUTOCARアワード2025】
公開 : 2025.08.01 11:05
EV転換とエルズミア・ポートの再生
アストラの生産は2022年4月に終了、エルズミア・ポートの製造品質は過去最高の水準に達していたという。
そんな中、ステランティスの商用EVを生産するという大きな決定が下された。「ちょっと面白い時期でした」とミラー氏は振り返る。

「欧州中の人が『エルズミア・ポートは終わる』と思っていましたが、わたし達は、当時のステランティスCEO、タバレス氏が工場を存続させると信じて疑いませんでした」
「初めてこの工場を訪れたとき、彼は『この場所を守るために必要なことは何でもやる』というわたし達の姿勢に感銘を受けていました」
工場は18か月間閉鎖されたが、その間もスタッフは、ロボットの移動や休憩スペースの整備などに取り組んだ。
マネージャーたちは、すでに同様の改装が完了していたマドリードの工場に視察に行くなど、変化に適応していた。それもすべて、ミラー氏の「やればできる精神」が工場全体に広がっていたおかげだ。
2023年9月には、商用EVの生産が本格的に始まった。ただし、課題はまだ残っている。年間2万台という現在の生産台数は、ミラー氏とステランティスにとってはまだまだ不十分だ。
特に、英国政府が内燃機関車の販売終了時期を2035年に設定したことで、エルズミアのEV生産の需要に大きな影響が及んでいる。
その暫定的な対策として、アルジェリアにある内燃機関バン工場向けに車体を生産するようになり、生産台数は年間5万台に拡大。さらに、5つのステランティスブランド向けに大型の商用EVの生産も始まれば、さらに増加するだろう。
将来的には、工場のフル稼働能力である「年間10万台・週7日・3交代制」に迫るほどの需要が見込まれている。エルズミア・ポートはその準備が整っているし、ミラー氏もハードな新プロジェクトに全力で挑んでいる。この先に待ち受ける課題にも意欲的だ。
ミラー氏を育てた師とは?
自動車業界の中で30年以上にわたり、女性だけでなく多くの人々にとってロールモデルとなってきた彼女だが、自身にとっても大きな成長の機会を得られたという。
「わたしは、ダゲナム工場で働き始めたあの頃のことを一生忘れません」と彼女は語る。

「あの経験が、わたしの考え方をガラッと変えてくれました。『冷静に考えれば、何だってできる』と学びました。その考え方を自分の人生にも応用してみると、たいていの物事を実現する方法が見るかるんです」
「この業界は、わたしにとって素晴らしい先生でした」














