パンとバター級に完璧 最新 ミニJCWで真夏の小旅行(1) 熱い走りを追求ゆえの荒削り

公開 : 2025.08.08 19:05

機敏なミニJCWで真夏の小旅行へ出かけたUK編集部 走るのはノースヨークシャー州 動的能力を追求したがゆえの荒削りさ 制限速度内でも不満なく味わえる個性 新世代エンジン版の魅力へ迫る

機敏なミニ・クーパーと真夏の小旅行

機敏なミニ・クーパーと、真夏の小旅行。パンとバター、ビールとソーセージくらい、完璧な組み合わせかもしれない。筆者が訪れたのは、グレートブリテン島中東部のノースヨークシャー州。絵葉書のように美しい、ロビンフズ・ベイがスタート地点だ。

最近の英国で人気急上昇なドライブルートが、スコットランド地方を巡るノースコースト500。だが、ロンドンからは遠い。ここからほど近い、ノースヨークムーアズ国立公園のワインディングでも、記憶に残る暑い時間を過ごせるはず。

ミニ・ジョン・クーパー・ワークス(JCW/英国仕様)
ミニ・ジョン・クーパー・ワークス(JCW/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

同行願ったカメラマンのエドレストンと自分は、グーグルマップを頼らないことにした。予期せぬ出会いを楽しむため。こうして、小さな漁港でフライドポテトをつまんでいるのも、偶然の流れだ。

ロビンフズ・ベイは、石畳の小道と入り組んだ階段で囲まれた町。海岸線を北へ進むと、ドラキュラで有名なウィットビーという町がある。南に進めば、サイモン&ガーファンクルが歌った、スカボローがある。

動的能力を追求したがゆえの荒削りさ

この付近は、人気の観光地。出発するなら早朝が良いだろう。今回の相棒、ミニ・ジョン・クーパー・ワークス(JCW)に積まれた2.0L 4気筒ターボエンジンの叫びが、静かな通りの空気を震わせる。硬めのサスペンションが、石畳の凹凸を車内へ伝える。

ミニJCWは、動的能力を追求しすぎたかのように、少し荒削りなところがある。そのかわり、熱々な走りへ興じれる。

ミニ・ジョン・クーパー・ワークス(JCW/英国仕様)
ミニ・ジョン・クーパー・ワークス(JCW/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

専用スプリングとダンパーが組まれ、フロントのネガティブキャンバーが強められ、カーブへの侵入はかつてないほど鋭敏。B48型ターボエンジンは、231psと38.6kg-mを発揮し、小柄なボディを静止状態から6.1秒で100km/hまで加速させる。

トランスミッションは、7速デュアルクラッチ。もうマニュアルは選べない。少し残念な気分を、活気溢れる加速力が打ち破る。クラッチを踏んだり、シフトレバーを倒す手間なく、有り余るパワーが路面へ展開される。軽くホイールスピンしつつ。

英国で唯一、常時開放されているサーキット

グレートブリテン島の内部へ続く道は、カーブが連続している。暴れ馬の前脚のように、フロントタイヤは悶える。これをなだめる、リミテッドスリップ・デフの設定は難しいらしい。血気盛んな振る舞いへ魅了される。

最初の目的地は、30kmほど南。少し遠回りしたが、スカボローの外れにオリバーズマウントと呼ばれる場所がある。ここは英国で唯一、常時開放されているサーキット。利用料を払ったり、ヘルメットを用意することなく、青と白の縁石をすり抜けられる。

ミニ・ジョン・クーパー・ワークス(JCW/英国仕様)
ミニ・ジョン・クーパー・ワークス(JCW/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

ここで初めてレースが開かれたのは、1946年。第二次大戦で命を落とした人への、追悼イベントだったそうだ。コースは全長3.9kmあり、コーナーは10か所。本番のバイクレースでは、ストレートで240km/hに達するとか。

普段は、時速30マイル(約48km/h)へ制限された区間が多い。それでも、メインストレートにはバイク用グリッドが描かれ、控えめなコントロールタワーもそびえている。レース気分を、充分以上に味わえる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブン・ドビー

    Stephen Dobie

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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