現代版ロータス・エスプリ、量産化は「ほぼ可能」 1000馬力の次世代スポーツカーに足りないものとは

公開 : 2025.09.19 18:05

90年代にも存在した実験的なプロトタイプ

新しい技術やデザインのショーケースとして構想されたセオリー1は、1990年代初頭に開発されたロータスのプロトタイプ『SID』を彷彿とさせる。

1992年にロータス・エンジニアリングが開発した実験的なテスト車両で、エスプリのボディにメトロ6R4のエンジンを搭載し、当時としては先進的な四輪駆動、四輪操舵、アクティブサスペンションなどのシャシーシステムの検証を目的としていた。SIDという名称は、設計の主題となった「構造(structure)」、「遮断(isolation)」、「ダイナミクス(dynamics)」の頭文字をとったものだ。

ロータスが1992年に開発したプロトタイプ『SID』
ロータスが1992年に開発したプロトタイプ『SID』

ノートパソコンでダイナミクス特性をプログラムでき、特殊なサスペンションによりボディロールをほぼゼロに抑えたコーナリングが可能だった。バイクのようにコーナー内側にリーンすることもできたという。今ではあまり知られていない車両である。

ペイン氏は、このSIDが当時、革新的技術を量産車に導入する上で少なからぬ役割を果たしたと述べ、この意味でセオリー1はSIDの精神的後継車であると示唆した。

「SIDでは、ステアリングとサスペンション、ダイナミクスを分離し、さまざまなシステムを自由に試すことができました。現代のクルマには非常に多くのアクティブシステムが搭載されていますが、これはかなり昔に成し遂げられたものです」

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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