385psのボルボ・エンジンで復活 ゼノスE10 RZ カーボン・ボディで800kg切り

公開 : 2025.10.27 19:05

2017年に破綻した英国のゼノスが復活 アルミのタブシャシーにカーボンのボディ ボルボの2.0L 4気筒ターボで385ps 滑らかなライン取りでリズミカルに操る楽しさ UK編集部が試作車へ試乗

2017年に破綻したゼノスが復活

英国の新興ブランド、ゼノスが復活する。ロータスケータハムを離れた技術者によってプロジェクトは2014年に始動し、最初のモデル、E10は約150台が生産された。しかし、需要を喚起すべく価格を抑えすぎたことが原因で、2017年に破綻していたのだ。

その後、同社の資産を買収したのがACカーズ。しばらく休眠状態にあったものの、2024年から再始動へ向けて動き始めている。

ゼノスE10 RZ(プロトタイプ)
ゼノスE10 RZ(プロトタイプ)

今回試乗したのは、そのE10 RZのプロトタイプ。新しいパワートレインの試験台を担っている、唯一の車両だ。2026年の中頃には、採算が取れる価格で提供が始まるという。

アルミのタブシャシー カーボンのボディ

基本設計は、8年前と同じ。アルミニウムの押し出し材によるタブシャシーが中央にあり、前側のダブルウイッシュボーン・サスペンションは直接取り付けられている。リアもダブルウイッシュボーンだが、こちらはサブフレームに組まれる。

ボディはカーボンファイバー製。ライト類を中心に、従来から僅かに手が加えられているものの、スタイリングはもう少しモダナイズしても良いかも。

ゼノスE10 RZ(プロトタイプ)
ゼノスE10 RZ(プロトタイプ)

全長は約3800mmで、全幅が約1870mmと、短く幅が広い。フロントガラスはオプションで用意されるそうだが、プロトタイプにはなく、ヘルメットが必要になった。量産版の車重は、800kgを切ると予想されている。

インテリアは、ダッシュボードまわりを一新。ドアの内張りも、カーボンファイバー製になる予定らしい。サイドシルを乗り越えてバケットシートへ座ると、座面が低く、運転姿勢はバッチリ。ブレーキとステアリングに、パワーアシストは備わらない。

ボルボの2.0L 4気筒ターボで385ps

エンジンは、かつてはフォードの4気筒が載っていたが、復活に当たり選ばれたのはボルボの2.0L 4気筒ターボ。ジーリー・ホールディングスとルノーとの合弁会社、ホース社を介して提供されるという。

独自のインタークーラーとECUが組まれ、最高出力385ps、最大トルク51.8kg-m
を発揮。6速MTとリミテッドスリップ・デフを経て、後輪が駆動される。

ゼノスE10 RZ(プロトタイプ)
ゼノスE10 RZ(プロトタイプ)

クラッチとブレーキのペダルは、感触が一致していて好ましい。アクセルのレスポンスも文句なし。エンジンは低域では穏やかな印象だが、7200rpmまで軽々と回る。ターボラグが僅かにあるが、2500rpm以上での加速は爆発的。高域でも勢いは衰えない。

乗り心地は、一般道では硬めながら引き締まった姿勢制御で、8年前と変わらず良好。ただし今後、改良が加えられる予定だという。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    役職:編集委員
    新型車を世界で最初に試乗するジャーナリストの1人。AUTOCARの主要な特集記事のライターであり、YouTubeチャンネルのメインパーソナリティでもある。1997年よりクルマに関する執筆や講演活動を行っており、自動車専門メディアの編集者を経て2005年にAUTOCARに移籍。あらゆる時代のクルマやエンジニアリングに関心を持ち、レーシングライセンスと、故障したクラシックカーやバイクをいくつか所有している。これまで運転した中で最高のクルマは、2009年式のフォード・フィエスタ・ゼテックS。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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