ぶつけて、学ぶ 事故調査のための衝突実験イベント 英国「クラッシュ・デイ」参加レポート

公開 : 2025.10.10 17:45

保険会社などの事故調査に活用

低速衝突ゾーンで行われた事故の1つは、トヨタオーリスが後退してスズキ・ヴィターラの側面に衝突するというものだ。オーリスの速度は8km/hだったが、これが実際の事故であれば、ヴィターラはドアとシルに受けた損傷によって全損扱いとなる可能性が高い。

英国の損害査定会社クエストゲイツの調査員は、こうした事故現場の検証がギャップ(GAP)保険関連の請求対応に有益だと述べた。

障害物に衝突後、横転するテスト車両。その後、傷跡などを詳しく調べることで事故に対する知見を蓄えていく。
障害物に衝突後、横転するテスト車両。その後、傷跡などを詳しく調べることで事故に対する知見を蓄えていく。

「保険会社が車両を全損扱いする傾向が強まり、PCP(ローン期間)終了間際に偽装事故を起こす人も増えています。この問題は深刻化しています」と調査員は語る。

同席した保険会社側の弁護士は、「わたし達は保険会社に対し、根拠のない人身傷害請求への対応を支援しています。本日の衝突実験は、日常では経験できない事態を可視化し、わたし達のような専門家が結果を把握する良い機会となります」と付け加えた。

その後も衝突実験が続いた。高速側面衝突や、歩行者ダミーとフォルクスワーゲン・ゴルフが衝突する実験(ダミーの頭部がフロントガラスを粉砕)などだ。しかし、終盤に差し掛かる頃、最も注目を集めたのはトラックへの高速追突実験と、停車中の車両列への追突実験であった。

前者では、ジャガーXタイプが約100km/hで7トンのトラックに追突した。車両の半分がトラックの下に潜り込むという、悲惨な結果となった。

「ダッシュボードがあんな風に折れ曲がるのは初めて見ました」とゴダード氏は言う。「これまで遭遇したことのない損傷を目の当たりにし、その原因を知るということに価値があるのです」

大トリは別のジャガー、今度はSタイプが約120km/hで停車中の4台(ヴォグゾール・アストラ、マツダ3プジョー308プジョー207)の後方から追突した。当然ながら、ジャガーとヴォグゾールの損傷が最も激しく、残りの車両はそれぞれ前部・後部の損傷具合が段階的に軽減していった。

予測可能な結果に見えたが、ゴダード氏は常に新たな発見があると話す。「見てください、マツダのエンブレムの跡がプジョーの背面に残っています。こんなことは初めてです!」

これまでに調査した数々の衝突事故を踏まえ、どのメーカーのクルマが最も優れた衝突保護性能を持つか尋ねてみた。「間違いなくボルボです」と彼は答えた。「ボルボにとって安全性は単なるマーケティングツールではなく、DNAの一部です。それが結果に表れています」

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョン・エバンス

    John Evans

    役職:特派員
    フリーランスのジャーナリストで、AUTOCAR英国編集部の元スタッフ。姉妹誌『What Car?』誌の副編集長や『Practical Caravan誌』の編集長なども歴任した。元自動車ディーラーの営業マンという経験を活かし、新車・中古車市場や消費者問題について幅広く取り扱っている。近年は、これらのニュースや特集記事に加え、アイスクリーム・ワゴンのDIY方法から放置車両の探索まで、さまざまな記事を寄稿している。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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