北欧の新星 ポールスターが目指す理想的デザイン(前編) 進化と洗練、小規模だからこそ輝く個性

公開 : 2025.11.22 11:25

若い北欧ブランドが迎える変革期

長い歴史を持つブランドから、ほとんど歴史のないブランドへ移ったことで、レーマーズ氏は新たな課題に直面している。アウディメルセデス・ベンツといった企業は、EV時代へ進む中で、デザインの伝統を維持することに苦戦してきた。

しかし、レーマーズ氏は、豊かな歴史を持たないブランドで成功を目指すことの方が難しいと語る。「100年の歴史を持つメーカーなら、これまで顧客に支持されてきたDNA要素を活用できます」

リアウィンドウレスのデザインが特徴の『ポールスター4』
リアウィンドウレスのデザインが特徴の『ポールスター4』

ポールスターは成長を続けているが、EV需要の成長が鈍化する中、EV専業ブランドである影響を受け、ここ数年の販売動向は不安定だ。株価も下落し、インゲンラートCEOの退任を招いた。その後、業界ベテランのマイケル・ロシェラー氏が新CEOに就任し、ブランド構築より販売拡大に焦点を当てた新たな方針を打ち出した。

「アウディで変革期のブランドを経験した後、同じく変革の最中にあるブランドに移ったんです」と語るレーマーズ氏は、大企業での経験が将来の販売拡大とラインナップ拡充に役立つと確信している。「フォルクスワーゲン・グループでは小型車、大型車、SUV、スポーツカーなどの開発に携わりましたが、自由なアーティストだったわけではありません。与えられた条件で最善を尽くす術を学んだのです」

「この経験はポールスターにとってプラスになるでしょう。今は正しい選択をしなければなりません。すべてを網羅する余裕はないので、適所に妥協点を見出す必要があります。これは大企業で働くことで学べるものです」

(翻訳者注:この記事は「後編」に続きます。)

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    役職:雑誌副編集長
    英国で毎週発行される印刷版の副編集長。自動車業界およびモータースポーツのジャーナリストとして20年以上の経験を持つ。2024年9月より現職に就き、業界の大物たちへのインタビューを定期的に行う一方、AUTOCARの特集記事や新セクションの指揮を執っている。特にモータースポーツに造詣が深く、クラブラリーからトップレベルの国際イベントまで、ありとあらゆるレースをカバーする。これまで運転した中で最高のクルマは、人生初の愛車でもあるプジョー206 1.4 GL。最近ではポルシェ・タイカンが印象に残った。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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