解体するには惜しいヴィンテージな「廃車」 20選 ジャンクヤード探訪記
公開 : 2025.10.12 11:45
米国の巨大ジャンクヤードを巡り、スクラップ同然のクルマにレンズを向ける探訪記シリーズ。今回は、敬意を持って丁寧に取り扱われている、1930年代から1970年代までの歴史的なクラシックカーを紹介します。
もくじ
ー大切に扱われているヴィンテージ品のアメ車
ーマーキュリー・コメット(1961年)
ーフォード・デラックス(1941年)
ービュイック・スペシャル(1954年)
ーポンティアック(1955年)
ーフォード・サンダーバード(1961年)
ーダッジ・ダート(1974年)
ーフォード・ギャラクシー500(1963年)
ーポンティアック・チーフテン(1950年)
ービュイック・スペシャル・コンバーチブル(1965年)
ープリムス・ベルベディア(1958年)
ーインターナショナルKBシリーズ
ーパッカード・パトリシアン400(1951年)
ープリムス・クランブルック(1952年)
ーマーキュリー・モントレー(1963年)
ーリンカーン・コンチネンタル(1967年)
ーリンカーン・コンチネンタルMkIV(1974年)
ービュイック・スカイラーク(1961年)
ービュイック・スーパー(1953年)
ーマーキュリー・エイト(1947年)
ーポンティアック・ストリームライナー(1946年)
ー著者について
大切に扱われているヴィンテージ品のアメ車
米国ケンタッキー州のロレットという町は、バーボン郡にある。ここを訪れる観光客の大半は、歴史あるメーカーズマーク蒸留所を見学するのが目的だ。
正直に言うとわたし達もそうだったが、その前にまず、素晴らしい『ライオンズ・ヴィンテージ・ジャンクヤード(Lyon’s Vintage Junkyard)』に立ち寄った。クルマ好きのデイビッド・ライオンズさんが所有する、この趣あるヤードには、1930年代から1970年代にかけての数百台もの魅力的なクラシックカーが並んでいる。

敷地内は非常に手入れが行き届いており、これまで訪れた他のジャンクヤードとは違い、草むらに隠れて足を引っかけるような、ぐちゃぐちゃに歪んだ金属片などは一切なかった。車両は敬意を持って扱われており、ドアやトランクは基本的にしっかりと閉められ、エンジンはカバーで覆われていた。実際、その名前とは裏腹に、わたし達取材班の目にはジャンクヤードというよりもむしろ中古車販売店に見えた。
マーキュリー・コメット(1961年)
ライオンズ・ヴィンテージ・ジャンクヤードでは、入り口の近くに常に数台のレストア可能なプロジェクトカーが停められている。今回訪れた際には、この状態の良い1961年式マーキュリー・コメットのステーションワゴンがあった。価格は3000ドル(約45万円、新車価格より約650ドル=約10万円高い)で、この値段設定ならすぐに売れるだろう。1961年に販売された18万3259台のコメットのうち、2万2165台がこの4ドア・ワゴンだった。

フォード・デラックス(1941年)
わたし達がライオンズ・ヴィンテージ・ジャンクヤードを訪問したのは、ある秋の朝のことだった。この寂しげな1941年式フォード・デラックスを囲む落ち葉が季節を物語っている。

ビュイック・スペシャル(1954年)
1960年代のフォードトラックのボンネットが、この1954年式ビュイック・スペシャル・デラックス・セダンのエンジンを風雨から守っている。ごく当たり前の対策のように思えるが、米国でこのような保護措置を講じているジャンクヤードは意外と少ないのだ。
地面に沈み込んだ様子から判断すると、この個体がここに持ち運ばれたのは1990年代だろう。このジャンクヤードが営業を始めた頃だ。写真のような4ドア・セダンは7万台以上が売れた。1954年のビュイックの中では、スーパーリビエラとスペシャル・リビエラに次いで3番目に人気のモデルだった。












