【後継モデルはイタリア生まれ】EV歴14年間・3台乗り継いだ日産リーフを卒業し、フィアット600eへ

公開 : 2025.10.28 11:45

2011年からZE0型24kWh、30kWhと乗り継ぎ、7年前にZE1型40kWhの日産リーフに乗り換えたオーナーのリアルなEVライフ・レポート。様々なモデルに試乗し、後継EVに選んだのはイタリア車でした。

14年間乗った日産リーフを卒業

執筆/撮影:Kaoru Kobayashi(小林薫)

14年間、3台乗り継いできた日産リーフを卒業し、数多くある輸入車の中からフィアット600eを後継として迎えることにしました。

リーフは量産型EVとして先進的なチャレンジであり、もたらしたEVワールドは素晴らしく、3台乗り継いだ14年間、十分に楽しませてもらいました。

3台目となった日産リーフZE1型。
3台目となった日産リーフZE1型。    小林薫

買い替えるごとに、ほぼ同じ大きさと重さで、3割程度バッテリー容量が増えて航続距離も伸び、その都度EVに対する技術進歩を強く感じることができました。

導入当初、夜間の電気料金は安く、オイル交換もなく、ランニングコストはガソリン車より少なく、十分にメリットがありました。しかし、今の夜間料金は上がっています。

また、急速充電と普通充電については、この14年間トラブルは全くなく、今思うと凄いことだと感じています。ただ、初期型のバッテリー劣化の進みは早く、いろいろと貴重な経験をさせてもらいました。

今の3台目ZE1型40kWhの走行距離はここまで約6万kmで、それほど多くはありません。8年経ってもバッテリー容量の低下は10%くらいで、日常生活ではまだまだ十分に使用できます。故障などはほとんどなく、仕組みのシンプルさの強みが発揮されていました。ブレーキパッドについては、回生ブレーキを多用してきており、ここまで交換はありません。

しかし、月に1~2度ある遠出の時になると、もう少し航続距離が欲しくなります。目的地はほとんど150km以下で、特に片道140km程度の都心へはよく行くことがあります。もしこれが一充電で往復出来たら、経路充電などは不要となり、利便性は格段に良くなります。それが後継EV選びの必須条件であり、最大の目的となりました。

今年発表された新型リーフは、航続距離は伸びていますが、形が全く変わり、車体重量と車幅は増えました。最新技術は盛り込まれているようですが、求めているイメージのEVではなく断念しました。

その一方で、ヨーロッパの日産から発売されるマイクラは、軽い車体でEV性能は良く、航続距離も十分に長く、とても魅力的です。スタイルは今のリーフに似ており、もし国内で販売されたら人気のEV車種になるのではと思いますが、今のところそのような発表はありません。

フィアット600eとは感動的な出会いが

これまで、国内で発売されたほとんどのコンパクトEVに試乗してきました。何台かはキャンペーンなどの利用で、自宅まで持ち帰り、数日間にわたってじっくりと検討しています。性能や機能の良さに加え、それぞれ個性的であり、興味を引くクルマが多く、とても迷いました。

その中で、600e購入の決め手となったのは『感動!』です。

フィアット/アバルト甲府での試乗車。
フィアット/アバルト甲府での試乗車。    小林薫

昨年10月、600eが発売されてすぐに試乗した時の感動は、全く別次元の素晴らしさで、そのまま持って帰りたくなりました。

自然なアクセル・レスポンスは、モーターパワーを意のままにコントロールできる感覚になり、まさにEVを操っている感じで、リーフにはなかったフィーリングでした。

軽妙なハンドリングは、狭い路地や交差点などの多い街中で楽しく快適な走りを期待でき、アクセル・レスポンスとハンドリング操作は絶妙にチューニングされていると感じました。このような運転操作は、イタリア車の特徴のようです。

音響空間は、これまで車内では体験のない上質なものになっており、ボーカルの定位は良く、不思議なくらい惚れ惚れする感じです。スピーカー6基搭載のシステムですが、リーフと比べると音質の差は歴然でした。

10.25インチのディスプレイモニターは高精細で発色が良く、綺麗で鮮やかです。操作パネル上にエアコンなどの物理スイッチがあり、操作性に心配はありません。

このクラスのクルマとしては高級感もあります。サスペンションは硬さの中に柔軟性があり、市街地に良くある窪みなども上手く吸収し、快適な乗り心地に貢献しています。運転席は少し硬めですが、6ウェイパワーシートになっており、ラグジュアリー感をしっかりともたらしています。

スタイルとインテリアは可愛くお洒落で、SUVによくあるごつい感じがなく、イタリア感たっぷりです。特に前面の顔つきは、女性に大好評のようです。後扉の電動化とエアコンのフルパワーモードへのワンタッチ機能があるのも気に入りました。

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    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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