使い勝手の良さも重視

レースに主眼を置いたGR GTの開発コンセプトは、空力的に最適化されたスタイリングとドライバー中心のコクピットにも顕著に表れている。インテリアは「プロドライバーと一般ドライバーの双方」に配慮し、サーキット走行だけでなく日常使いにも適応するよう設計されている。

特筆すべきは、GR GTとGR GT3のどちらにも、トヨタのエンブレムがどこにも付けられていない点だ。これはレクサスやセンチュリーのように、GRを独立したブランドとして確立する方針に沿ったものである。

インテリアでは、視認性の最大化、「守られ感」、そして「理想的なドライビングポジション」の両立を目指した。特に、優れた操作性を実現するため、すべてのスイッチ類を直感的に操作しやすい位置と形状にすることに重点が置かれている。

軽量化と高剛性化も重要な柱であり、トヨタは「日常使いから限界域までリニアなレスポンスと高いコントロール性にこだわった」としている。

トヨタ車として初めてオールアルミニウム骨格を採用し、ボディパネルの一部や主要サスペンション部品もアルミ製だ。ブレーキはブレンボ製のカーボンディスクを採用した。

その結果、GR GTの車両重量は1750kg未満となった。四輪駆動のメルセデスAMG GTよりも約300kg軽量で、後輪駆動のアストン マーティン・ヴァンテージとほぼ同等だ。

こうした軽量設計と前後重量配分（前45：後55）、そしてトヨタのル・マン参戦マシンをベースに特別に開発されたスタビリティ・コントロール・システムを融合し、GR GTは「サーキットやワインディングロード等の一般道でもクルマと対話できる、最適な性能」を追求している。

画像　トヨタのフラッグシップV8スーパーカー登場！ 培った技術を次の世代へ【新型GR GTを詳しく見る】　全30枚