マセラティ・ビトゥルボ(3) シリーズ集大成のギブリ 頂点にあるカップ 爆竹のような激しさ 癖濃い魅力

公開 : 2026.03.08 17:55

マセラティの生産倍増を狙った量産初ツインターボのビトゥルボ 華やかなイタリアン・インテリア クーペの特徴を継ぐサルーンにスパイダー 集大成はギブリ UK編集部が濃い味の5台を振り返る

シャマル+ビトゥルボ=ギブリ

ビトゥルボが売れたといっても、マセラティは赤字経営が続いていた。1988年にフィアットの投資を受けつつ、ビトゥルボは222へ改称。ザガートのカリフは大幅な改良を受け、スパイダー以上にホイールベースが短縮されたシャマルが、1990年に誕生する。

スタイリングは、マルチェロ・ガンディーニ氏が担当。カリフと共通したのはドアパネルのみで、ブランドの新時代を象徴するような存在が狙われた。生産はイタリアのマセラティ・モデナ工場で行われ、1996年までに369台がラインオフしている。

マセラティ・ギブリ・カップ(1995~1997年/日本仕様)
マセラティ・ギブリ・カップ(1995~1997年/日本仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

これと並行し、222の後継として、よりメジャーな位置づけのギブリが1992年に登場。ホイールベースは、クーペのビトゥルボと同じ2515mmを得ていた。

24バルブのV6ツインターボはビトゥルボ由来だが、6速MTやLSD、可変式サスペンションなどはシャマルから継承。均整の取れたボディラインに台形のサイドウインドウ、ブリスターフェンダーなど、ガンディーニによるスタイリングも踏襲された。

積極的な速度上昇 激しい走りは爆竹のよう

ビトゥルボのスパイダーとサルーンは1994年まで生産が続くが、前者は廃盤となり、後者はクアトロポルテ IVへバトンタッチ。マセラティのラインナップは、2ドアクーペのギブリとの、2種体制へ改変された。

ワンメイクレース・シリーズへちなんだ、2.0L V6ツインターボのカップ仕様が投入されたのは、1995年。最高出力は334ps/6800rpmへ引き上げられつつ、生産数は僅か60台に制限された。今回のイエローの車両は、日本で売られた右ハンドル車だ。

マセラティ・ギブリ・カップ(1995~1997年/日本仕様)
マセラティ・ギブリ・カップ(1995~1997年/日本仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

いかにも速そうな、17インチのスピードライン社製ホイールを履き、スタイリングはモダン。だがボディカラーを除けば、今回の5台では容姿の主張は控えな側にある。

交通の少ない公道へ出れば、爆竹のように激しく走れる。知的なブーストコントローラーが備わるが、ターボラグは大きい。コンプレッサーが圧力を高めると、イタリアン・エキゾチックらしい積極的な速度上昇を披露する。

ビトゥルボの集大成 頂点にあるカップ

シャシーは落ち着きが高められ、操縦性は繊細。きっかけを与えれば、リアはスライドを始めるものの、4段階の可変式サスペンションで「3」を選ぶと、グレートブリテン島の傷んだアスファルトとの相性が良くなる。

路面の起伏を巧みにいなし、コーナリングは粘り強く安定。中央のペダルを踏み込めば、フロントが4ポッドのブレンボ社製ブレーキが、圧巻の制動力を生み出す。ナンバー付きの、ツーリングカー・レーサーの勢いで飛ばせる。

マセラティ・ギブリ・カップ(1995~1997年/日本仕様)
マセラティ・ギブリ・カップ(1995~1997年/日本仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

ビトゥルボの集大成といえるのが、ギブリ。運転姿勢はまだ完璧ではないものの、快音を放つV6ツインターボエンジンに、磨かれたシャシー、トルクを受け止めるLSDと6速MTの組合せで、このカップはその頂点にある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・カルダーウッド

    Charlie Calderwood

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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