米国を代表する名車 フォード・サンダーバードの栄光と衰退(前編) 誕生とサイズアップ
公開 : 2025.12.20 11:25
近代的なFEエンジン採用
YブロックV8はフォードのエンジンの中でも短命な部類に入る。2代目サンダーバードには、より近代的な352ci(5.8L)仕様のFEエンジンが採用された。FEエンジンとしては控えめな排気量だが、最高出力300psとパワフルで、スポーティさを優先していなかったにもかかわらず、優れた性能を見せた。
FEエンジンは430ci(7.0L)まで拡大できたが、1959年にラインナップに追加されたのは同じ排気量のMELエンジンであった。サンダーバードでは345psという余裕のある出力を発揮した。

ビッグバード
最初の2世代のサンダーバードが明らかに1950年代の産物であったのに対し、3代目はよりシンプルで流線型のデザインとなり、新しい時代を意識していることがわかる。
スクエアバードとほぼ同じサイズでありながら「ビッグバード」の愛称で呼ばれ、1961年から1963年にかけてクーペとコンバーチブルの2種類が生産された(21万4375台という新記録を達成)。搭載エンジンはFEのみであり、排気量は390ci(6.4L)で最高出力300psを発生。352よりも中速域での性能が向上していた。

高身長ドライバーに喜ばれる画期的な改良
ビッグバードには、少なくとも高身長のドライバーには喜ばれるような、画期的な改良が施された。
オートマティック・トランスミッションがパーキングモードの時に、ステアリングホイールを右へ10インチ(約25cm)移動させることができるのだ。これにより背の高いドライバーでも容易に乗り降りすることができる。

英国人写真家が撮影した広告写真
この時期、欧州のメーカーは、程度の差こそあれアメリカンスタイルを取り入れることで魅力を高めようと考えた。その一例が、欧州向けのフォード・コルセアだ。
著名な英国人写真家デイヴィッド・ベイリーが撮影した広告写真には、女優ジーン・シュリムプトン(1942年生まれ)と、2度のF1世界チャンピオンに輝いたジム・クラーク(1932-1968)が写っている。

コルセアはサンダーバードと比べてはるかに小型で出力も低く、文化的影響も乏しいが、フロントエンドにはビッグバードとの類似点が見られる。
冒険心にはやや欠ける4代目
1964年から1966年にかけて生産された4代目サンダーバードは、先代モデルと同様に個性的なフロントデザインを採用しているが、冒険心にはやや欠ける。パワートレインはFEエンジンの390ci(6.4L)と、427ciまたは428ci(いずれも7.0L)で、出力は2代目の最大値である345psに匹敵した。
この時代のサンダーバードは、『007/ゴールドフィンガー』(1964年)、『ワイルド・アット・ハート』(1990年)、そして最も有名な『テルマ&ルイーズ』(1991年)など、いくつもの映画作品に登場している。


















