米国を代表する名車 フォード・サンダーバードの栄光と衰退(後編) ダウンサイズと幕引き

公開 : 2025.12.20 11:45

4年の羽休め

10代目サンダーバードは9年間生産された。そしてついに、40年以上途切れることのなかったサンダーバードの生産にストップがかけられた。1997年9月4日、オハイオ州ロレインの生産ラインから96万1624台目の車両が出荷され、そこで幕引きとなった。

サンダーバードとの関連性がなくなったため、新型のマーキュリー・クーガーは欧州向けフォード・モンデオの近縁車種となり、マツダが開発したプラットフォームをベースに設計された。

4年の羽休め
4年の羽休め

レトロなデザインで復活

フォードはわずか4年で方針を転換し、11代目サンダーバードを投入した。ちょうどこの頃、レトロモデルが全盛期を迎えていた。クライスラーPTクルーザー、ミニ、プリムス・プロウラー、フォルクスワーゲンビートルなどが市場に出回っており、フィアットも新型500の開発に着手しようとしていた。

2001年に発売された最新型サンダーバードは、ジャガーSタイプやリンカーンLSと部品を共有しており、外観とコンセプトの両面で初代モデルに近いものだった。スポーティ性を抑えた2人乗りコンバーチブルであり、エンジンはジャガーのAJ-V8をベースにした3.9L V8で、最高出力284psを発生する。

レトロなデザインで復活
レトロなデザインで復活

映画『007/ダイ・アナザー・デイ』で活躍

2002年の映画『007/ダイ・アナザー・デイ』では、ハル・ベリー演じるジンクス・ジョンソンがサンダーバードを運転した。あまり知られていないが、2004年の映画『サンダーバード』(有名なSF人形劇の実写版)にも登場している。ピンクの6輪車FAB1のベースとなったのだ。

HBOドラマ『ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア』でドレア・デ・マッテオが演じた華やかなギャングの愛人、アドリアナ・ラ・セルバもサンダーバードを運転している。

映画『007/ダイ・アナザー・デイ』で活躍
映画『007/ダイ・アナザー・デイ』で活躍

幕引きは初代モデル発売からちょうど半世紀を過ぎた頃

他のレトロモデルが長年市場に残ったのに対し、11代目サンダーバードはわずか4年で生産中止となった。デビュー当初こそ販売は好調だったものの、急速に落ち込み、一部ではフォードのマーケティング不足を指摘する声も上がった。

最後の1台は2005年7月1日に完成し、出荷された。初代モデル発売からちょうど半世紀を過ぎた頃だ。こうしてサンダーバードの名は市場から消えた。おそらく、再び翼を広げることはないだろう。

幕引きは初代モデル発売からちょうど半世紀を過ぎた頃
幕引きは初代モデル発売からちょうど半世紀を過ぎた頃

フォードがその気になれば、サンダーバードの復活も決してあり得ない話ではない。しかし、現実問題としてクーペ市場は小さく、近い将来に成長する兆しも見られない。悲しいことに、サンダーバードの時代は終わったようだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

フォード・サンダーバードの栄光と衰退の前後関係

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