いまある日産の技術を結集!主幹が語る『起爆剤』としての期待 オーラ・ニスモRSコンセプトの挑戦(開発者編)

公開 : 2026.01.13 11:45

日産自動車は、1月9~11日に幕張メッセで開催されている『東京オートサロン2026』において、『オーラ・ニスモRSコンセプト』を出展しました。開発にかける思いを担当主管に内田俊一がインタビューしました。

時間差を埋める検証車という役割

日産自動車は、1月9~11日に幕張メッセで開催されている『東京オートサロン2026(TAS)』において、『日産オーラニスモRSコンセプト』を出展。ニスモが将来を見据え様々なトライをしたこのコンセプトモデルについて、開発主幹に話を聞いた。

そもそものこのオーラ・ニスモRSコンセプトとはどういうモデルなのか。

東京オートサロン2026で初公開された、『日産オーラ・ニスモRSコンセプト』。
東京オートサロン2026で初公開された、『日産オーラ・ニスモRSコンセプト』。    山田真人

ニスモは現在、電動のレースカーを開発中であり、その大きな目的は市販車へのフィードバックにある。

しかし、レースカーと市販車の間には大きな差があることから、そのフィードバックには時間がかかってしまうのが現実。そこで『検証車』を用意することで、その時間差を埋めようと考え出されたのがこのモデルだ。

「せっかく検証車を作るのであれば、市販も匂わせたい。そこでデザインに格好良い絵を描いてもらったのがこの展示車です」と述べるのは、日産モータースポーツ&カスタマイズ・ニスモ事業所モータースポーツパワートレイン開発部主管の片倉丈嗣さんだ。

搭載されているパワートレインは、エクストレイル・ニスモと同じ1.5リッターVCターボ。日産のeパワーは、オーラなどの1.2、セレナなどの1.4、そしてエクストレイルの1.5リッターVCターボがある。

「中途半端は良くないと、かなり強引に1.5リッターVCターボをそのまま搭載しました」と片倉さん。車格的には2ランクほど大きいエンジンだが、その分より強力なパワーとトルクが得られ、「パワーウェイトレシオは、いまやり得る中で最大限にすることができました」。

スーパー耐久ST-Qクラスにエントリー

さらに、ここまでやるならシャシー制御も協調制御しようと、オリジナルのニスモ・チューンドeパワー4WDからeフォースに変更。

ただ、レースのレギュレーションでeフォースは使えない。しかし、スーパー耐久のST-Qクラスという開発カテゴリーであればチャレンジでき、「そこでシャシー制御するとプロドライバーでももっと速く走らせることができること、さらにはエネルギーマネジメントやトルクマネジメントにもこの場でチャレンジしたい、というのが開発としての思いです」と述べ、「結果としてかなり良いクルマになると思っています」と期待値は高い。

日産モータースポーツ&カスタマイズ・ニスモ事業所モータースポーツパワートレイン開発部主管の片倉丈嗣さん(右)。
日産モータースポーツ&カスタマイズ・ニスモ事業所モータースポーツパワートレイン開発部主管の片倉丈嗣さん(右)。    内田俊一

この話から見えてくるのは、このモデルがレース専用設計ではないということだ。

「それもこだわりのひとつです」と片倉さん。ここに込められたメッセージは「日産がいま出している技術の延長線でこういうものが作れるということをアピールしたかったから」だという。

「いま日産は、商品力をはじめモデルの更新のタイミングなどもあり、必ずしも良い印象だけではありませんし、そこは反省すべき点です。とはいえ、いま出している技術の集合体によって魅力的なものに生まれ変わるということを見せることで、もう少し期待もしていただけるのかな、と。そして我々にとっても、それに応えるような開発のやり方にもつながる『起爆剤』になってほしいんです。ですから、まずはレースで頑張るしかないですね」

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    内田俊一

    日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も得意であらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。現在、車検切れのルノー25バカラとルノー10を所有。
  • 撮影

    内田千鶴子

    Chizuko Uchida

    イタリアとクルマが大好きで、1968年式のFiat 850 spider Serie2を20年以上所有。本国のクラブツーリングにも何度か参加している。イタリア旅行時は、レンタカーを借りて一人で走り回る。たまたま夫が自動車ジャーナリストだったことをきっかけに取材を手伝うことになり、写真を撮ったり、運転をしたりすることになった。地図は常にノースアップで読み、長距離試乗の時はナビを設定していても、ナビシートで常に自分で地図を見ていないと落ち着かない。
  • 撮影

    山田真人

    Makoto Yamada

    1973年生まれ。アウトドア雑誌編集部からフリーランスカメラマンに転身。小学5年生の時に鉄道写真を撮りに初めての一人旅に出たのがきっかけで、今だにさすらいの旅をするように。無人島から海外リゾート、子どもからメガヨットと幅広い撮影ジャンルを持つ。好きな被写体は動くものと夕陽。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

オーラ・ニスモRSコンセプトの挑戦の前後関係

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