フェラーリV8を押し込んだランチア・テーマ 同ラインで作られたフィアット・クロマ ティーポ4プロジェクトのサルーンたち(2)

公開 : 2026.02.01 17:50

みっちり収まるフェラーリのV8エンジン

今回ご登場のテーマは、215psのV8エンジンを積んだ8.32。1988年に登場した187psを誇るテーマ・ターボは、最高速度が僅かに高く、価格は3割ほど安かった。0-100km/h加速もより鋭かったが、フェラーリ・エンジンの魅力に疑う余地はない。

ボンネットを持ち上げると、フロントアクスルの少し前方へ、308由来のF105L型ユニットがみっちり収まっている。ランチアのフラッグシップとして、熱いマニアの夢へ応えるべく、ティーポ4へ押し込んだ特別なサルーンといえる。

ランチア・テーマ 8.32(1984〜1994年/英国仕様)
ランチア・テーマ 8.32(1984〜1994年/英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

イタリア・マラネロの工場でエンジンブロックは鋳造され、組み立てはボローニャのドゥカティ社が担当。クロスプレーン・クランクシャフトが組まれ、排気量が2927ccに縮小され、低域トルク優先のチューニングを受けている。

7000rpmへ吹け上がる完璧なバランス

8.32は、究極のテーマだろう。アイドリング時から、贅沢な余裕が漂う。クラッチペダルは軽く、アクセルペダルはストロークが長い。ZF社製のパワーステアリングは極めて滑らか。乗り心地には、適度な締まりがある。

2500rpmで27.5kg-m前後のトルクを得るが、3000rpmから本領を発揮。二重化されたバルクヘッド越しに咆哮が反響し、幅205のグッドイヤー・タイヤがむずがる。

ランチア・テーマ 8.32(1984〜1994年/英国仕様)
ランチア・テーマ 8.32(1984〜1994年/英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

完璧なバランスで簡単に7000rpmへ吹け上がり、5速MTのギア比はショート。3速で160km/hに達しても、タコメーターを見なければシフトアップを忘れそうだ。

颯爽と速度は上昇し、アダプティブダンパーが路面の凹凸を巧みに均す。ヘアピンカーブへ飛び込むと、フロントノーズの重さを隠さない。ステアリングは正確で、身のこなしは落ち着いているが、ボディロールとともに増すアンダーステアで我に返る。

この続きは、ティーポ4プロジェクトのサルーンたち(3)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    アーロン・マッケイ

    Aaron McKay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

ティーポ4プロジェクトのサルーンたちの前後関係

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