プジョーがやらなければ誰がやる? 新CEOによるブランド強化計画(前編) 技術革新とGTi復活

公開 : 2026.02.02 11:25

好奇心を喚起するイノベーション

未来志向のコンセプトカーの中には、メーカーの理想や野心を抽象的で突飛、しばしば非現実的な形で示すものもあるが、ポリゴンはもっと具体的だ。3代目となる次期『208』のデザインの方向性を示唆するだけでなく、いくつかの特徴的な要素は今後数年で市販車に導入される予定だ。その1つが異例の『ハイパースクエア』と呼ばれるステアリングホイールだが、実際には「ホイール(輪)」ではない。

ハイパースクエアはヨーク型(操縦桿タイプ)の装置で、機械的な接続ではなく電子的に前輪を制御するステアバイワイヤとなっている。ステアリングギア比は速度に応じて変化し、あらゆる速度域で機敏性を高める。あらゆる操作を4分の1回転以内で行えるという。

ステアバイワイヤ方式の次世代ステアリング『ハイパースクエア』
ステアバイワイヤ方式の次世代ステアリング『ハイパースクエア』    プジョー

これは、プジョーが巨大グループ会社の一員となり、コスト効率を優先して技術共有を進めてきた過去からの脱却である。

ファヴェ氏は、ハイパースクエアがプジョーの評判を高める一助になると確信している。

「ハイパースクエアは人々の好奇心を喚起するイノベーションだと確信しています。そして、ハイパースクエアがもたらす運転の喜びは極めて印象的で、人々が絶対に欲しくなるものだと信じています」

楽しさを追求した『GTi』復活へ

ファヴェ氏は、こうしたイノベーションを市場に投入することがプジョーの「欧州における主要ブランドとしての役割」だと考えている。

「プジョーがやらなければ、誰がやるのでしょうか?」

今年後半に投入予定の高性能モデル『e-208 GTi』
今年後半に投入予定の高性能モデル『e-208 GTi』    プジョー

確かに、ステランティスの他ブランドに先んじてステアバイワイヤを市販車に導入すれば、プジョーは技術革新の旗手として評価を高めることになるだろう。

こうした先駆者的な精神と発想は、ファヴェ氏が進める高性能の『GTi』シリーズ復活の基盤にもなっている。今年後半には、リミテッドスリップディファレンシャルと最高出力282psのモーターを搭載した『e-208 GTi』が投入される。

技術的にはアバルトアルファ・ロメオの同種ホットハッチと同一かもしれないが、e-208 GTiの存在は、運転の喜びをブランドの中心に据え、熱狂的な支持層を取り戻したいというファヴェ氏の強い思いを象徴している。

「GTiのようなものはプジョーのDNAの一部です。ブランドのポジショニングに活用すれば、例えば『プジョーは素晴らしいドライビング・エクスペリエンスを体現する』と明確に示すこともできます。それがプジョーの本質の一部なのです」

(翻訳者注:この記事は「後編」へ続きます。)

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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