量産ピックアップ屈指の悪路性能 イネオス・グレナディア・クォーターマスター(2) ワゴンボディより魅力的

公開 : 2026.03.31 18:10

量産ピックアップ屈指の走破性を誇る、クォーターマスターが小改良。BMWの直6ディーゼルで、最大積載量は760kg。オンロードマナーもハイラックスより若干優れるとUK編集部は評価します。

しっかり引っ張れば充分機敏 良く効くブレーキ

BMW製の3.0L直6ディーゼルターボを積んでいても、グレナディア・クォーターマスターの0-100km/h加速は10.1秒で、1t当たりの馬力は約90psと動力性能自慢とはいえない。だが、しっかり引っ張れば充分機敏に走り回れる。

車重はカタログ値で2740kg。高負荷時には、BMWの直6といえども粒の粗いエンジン音が増す。加減速時に生じる、ドライブトレインからの振動も小さくはない。SUVのX7などと異なる印象を受けることは、事実ではある。

イネオス・グレナディア・クォーターマスター TD ブラック・エディション(英国仕様)
イネオス・グレナディア・クォーターマスター TD ブラック・エディション(英国仕様)

上質さを重視するなら、3.0Lガソリンターボも選択でき、加速も活発になる。しかし、荷物を積んでガシガシ使いたいなら、燃費が良くトルクフルなディーゼルエンジンの方が好適だろう。どのギアでも、たくましく速度を上昇させていく。

ブレーキは良く効く。オンロードも視野に入れた、ブリヂストン・デューラー・タイヤを履いた試乗車は、約110km/hからの停止を60.8mで処理してみせた。

量産ピックアップ屈指の悪路性能

オフロードでの能力は、量産ピックアップトラックの中でも屈指の水準。最低地上高は264mmで、最大渡河水深は800mmもあり、豊かなトルクと相まって困難な条件へ余裕で対処してみせる。

路面とボディが接する角度は、フロントのアプローチアングルが35.5度とかなり深い。他方、ホイールベース間のブレークオーバーは26.2度、リアのデパーチャーは22.6度で、ワゴンボディ版より浅く、急な勾配などでの走破性は低下しているが。

イネオス・グレナディア・クォーターマスター TD ブラック・エディション(英国仕様)
イネオス・グレナディア・クォーターマスター TD ブラック・エディション(英国仕様)

試乗車はさらに、オンロード寄りの仕様となるブラック・エディション。オフロードコースへチャレンジしたいなら、BFグッドリッチの本気なブロックパターン・タイヤを履き、ロッキングデフを組める、別の仕様を指定したいところ。

燃費は、普段使いを想定した平均で9.0km/L。満タンで800kmほど走れる計算になる。

オンロードマナーはハイラックスより僅かに上

2026年仕様としてステアリングラックが改良を受け、操舵時の正確性は明らかに改善した。切り始めの45度では、クイックにもなっている。オフロード前提の再循環ボール式は変わらず、大きな岩にタイヤが衝突しても、キックバックで手を痛める恐れはない。

走行時のセルフセンタリング性も、高められている。これまでのグレナディアは、カーブを過ぎたら急いでステアリングホイールを戻し、出口へボディを導く必要があった。改良後は、手の力を抜くと、ある程度は自動的に直進状態へ戻ってくれる。

イネオス・グレナディア・クォーターマスター TD ブラック・エディション(英国仕様)
イネオス・グレナディア・クォーターマスター TD ブラック・エディション(英国仕様)

ソフトなサスペンションは手つかずで、カーブへ飛び込めばボディは大きく傾く。乗り心地はマイルドながら、モノコックのランドローバーディフェンダーとは異なり、SUV的な操縦性までは得ていない。最小回転直径は14.5mで、小回りも効かない方だ。

約110km/hでの走行時の車内ノイズは、70dBAと大きめ。これよりウルサイのは、スーパーカーくらいといえる。それでも、トヨタ・ハイラックスより、オンロードマナーは僅かに優れている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    役職:編集委員
    新型車を世界で最初に試乗するジャーナリストの1人。AUTOCARの主要な特集記事のライターであり、YouTubeチャンネルのメインパーソナリティでもある。1997年よりクルマに関する執筆や講演活動を行っており、自動車専門メディアの編集者を経て2005年にAUTOCARに移籍。あらゆる時代のクルマやエンジニアリングに関心を持ち、レーシングライセンスと、故障したクラシックカーやバイクをいくつか所有している。これまで運転した中で最高のクルマは、2009年式のフォード・フィエスタ・ゼテックS。
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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