タイヤ開発に独自性を発揮 ダンロップのパブリックイメージ(後編)【サイトウサトシのタイヤノハナシ 第19回】
公開 : 2026.04.15 12:05
テストと経験と勘から、スーパーコンピュータ活用へ
これらの取り組みは、2011年の4D NANO DESIGN(フォーディー・ナノ・デザイン)へとつながり、さらにADVANCED 4D NANO DESIGN(アドバンスド・4Dナノデザイン:2015年~)へ発展してゆきます。
4Dナノデザインは、スーパーコンピュータ(地球シミュレーター)を用いて、これまでテストと経験と勘で作られてきた材料配合を、シミュレーションして行うというものです。

このシミュレーションに大きな役割を果たしたのが、兵庫県にある巨大な放射光施設であるSPring-8(スプリング-8)です。ゴムの中にあるシリカの状態、走行中にシリカとゴムの結びつきがどうなっているかを観察可能にしたことで、転がり抵抗を低減しながら、耐摩耗性も高めることができるようになったのです。
具体的には、シリカとポリマーの結びつきを改良した末端変性ポリマーの開発がそれで、これを機にダンロップのエコタイヤは転がり抵抗とウエットグリップの両立が進みました。
分子の可視化は、茨城県東海村にある大強度陽子加速器施設J-PARC(ジェイパーク)によって、シリカだけでなくゴム分子そのものの動きが見えるようになりました。スーパーコンピュータも『京』にグレードアップしています。
2024年からは、宮城県仙台市にある次世代の放射光施設=ナノテラスを使い、スパコンも富岳を駆使してさらに踏み込んだ研究が進められているのです。
材料の見える化、研究の成果
材料の見える化の、一連の研究の成果のひとつが、雨の日だけゴムが柔らかくなるアクティブトレッドと、その技術を搭載したシンクロウエザーです。
夏、酷暑の中でもグニャつく感触を一切見せずにスイスイ走れ、冬季は雪道だけでなく凍結路面までも走れてしまいます。もちろんスタッドレスタイヤほどの氷雪性能はありませんが、非降雪機地域で使うなら、スタッドレスタイヤはいらない、と思えるくらいの高性能を持っています。

アクティブトレッド技術は、さらに研究が進められており、温度によるタイヤの剛性変化、エコタイヤとスポーツタイヤの性能の両立など、多くの可能性を秘めています。それどころか、タイヤそのもののあり方まで変えてしまう可能性を秘めています。
その意味で、ダンロップが持つアクティブトレッド技術は発展・進化の途上にあるわけで、この先どんな風に進んでいくのか、ダンロップ(住友ゴム)の動向から目が離せません。

