最上級にエレガントなジャガーXJ-S リンクス・イベンター(1) シューティングブレークの魅力に迫る

公開 : 2026.06.06 17:45

「挑戦でしたが、成果は誇れるもの」

とはいえ、作業は難航したとルーカスが続ける。「燃料タンクにリアのバルクヘッドとフェンダー、ルーフの大部分を、一度取り外す必要がありました」

「当初は、フロント側のルーフを残す計画でしたが、きれいな曲面では仕上げられなかったんです。半分は神頼み、といったところでしたが、最終的には驚くほど高度な仕上がりになったと思います。挑戦でしたが、成果は誇れるものだと思います」

リンクス・イベンター(1987年式/TWR仕様)
リンクス・イベンター(1987年式/TWR仕様)

ご登場願ったダーク・レッドのリンクス・イベンターも、彼らによって美しく仕上げられた1台。初代オーナーは、自身の名を冠した紳士服ブランドを立ち上げた、サー・モンタギュー・バートン氏を父に持つ、実業家のレイモンド・バートン氏だ。

彼は、1964年のアルペン・ラリーへACエースで参戦。コースアウトし、45mほど崖を転落しながら、軽症で済んだという幸運の持ち主でもある。

6.1L化で385psへ上昇したV12エンジン

そんなレイモンドが、クーペのXJ-Sを受け取ったのは1986年10月。V12エンジンが発揮する289psは物足りないと、早々に感じたらしい。その月末には、TWRのワークショップへ彼のジャガーは持ち込まれた。

まだ創業から10年も過ぎていなかったTWRだが、欧州ツーリングカー選手権へグループA仕様のXJ-Sで参戦。ジャガーのチューニングで、一目置かれる存在になっていた。

リンクス・イベンター(1987年式/TWR仕様)
リンクス・イベンター(1987年式/TWR仕様)

5.3LのV12エンジンは6.1Lへ拡大され、ハイカムと専用コンロッド、鍛造ピストンが組まれた。吸排気系や点火系、燃料噴射システムも改良され、最高出力は385psへ上昇。サスペンションとブレーキも強化され、増大したパワーを受け止めた。

この続きは、リンクス・イベンター(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ライアン・スタンデン

    Ryan Standen

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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