世界で一番売れているボルボSUV、『XC60』の話(後編)【日本版編集長コラム#84】

公開 : 2026.05.31 12:05

体感上、1000km弱は走りそう

もちろんガソリンとバッテリー、両方を駆使した長距離移動も可能だ。

バッテリーが空の状態でエンジンの航続可能距離が830kmを示していたから、あくまで体感上だが、1000km弱は走りそう。ちなみに一時期1400kmを示したが、これはすぐに減ったので、そこまでは正確でないということだろう。これは若干不便に感じたところだった。

自宅で充電中。200V3kW/約6時間で満充電なら夜中に完了できるので、現実的といえる。
自宅で充電中。200V3kW/約6時間で満充電なら夜中に完了できるので、現実的といえる。    平井大介

ここから導き出されるPHEVが向いているユーザー像は、走行ルートが街中(下道)中心であることと、自宅に充電環境があること。充電は3kWだと時間的にもどかしいが、残念ながら6kWには対応していないそうだ。

誤解しないで頂きたいのは、これらはあくまで使用用途に合うか合わないかという話で、PHEVの是非ではないこと。ちなみにせっかちな筆者は、PHEVこそ急速充電を使いたいと思ってしまった。

白眉レベルのエアサスペンション

さて、このXC60プラグインハイブリッドには『電子制御式4輪エアサスペンション/ドライビングモード選択式FOUR-Cアクティブパフォーマンスシャシー』が標準装備となっているのだが、これが白眉レベルの素晴らしいものだった。

後者に関してボルボの説明を引用すると、『道路と走行条件に合わせて最適な車高を保ち、ショックアブソーバーの減衰力を調整。ダイナミックな走りと洗練された乗り心地を両立』するものとなる。

『ドライブモード』と『バッテリーの使用』設定画面。ステアリングも調整できる。
『ドライブモード』と『バッテリーの使用』設定画面。ステアリングも調整できる。    平井大介

XC60の足まわりは、タイヤがピレリPゼロという影響もあるのか、決して柔らかいものではない。むしろ路面からの入力はしっかりある印象だ。しかしその処理の仕方が絶妙。その入力を室内にガツンとは伝えず、乗員の身体は大きく揺らさず、あくまでフラットさを保つ。

以前試乗したマイルドハイブリッドモデルは非装着車で、ここの印象は劇的に違うものだった。とても車重が2t以上あるとは思えない乗り心地だ。

シートも柔らかすぎずバランスよく身体を支える印象。色遣いの優しいデザインのインテリアとあいまって、室内の居心地のよさもまた、ボルボXC60というクルマの白眉だと感じた。

これなら長く所有できそう

デビューから10年近く経つも、『電動化の踊り場』でモデルライフが長くなったXC60だが、昨年のビッグマイチェンなど改良を重ねてきており、例えばグーグル搭載のインターフェイスは現代的な使い方ができる。ひとつだけ古さを感じたのはADASの制御で、スイッチは使いやすいものの、速度および車線維持のさせ方にきめ細かさが足りなかった。

ちなみに古いと言えば、ウインカーの音質が昔から変わっていないような気がしたのは、逆に嬉しくなった部分だ。変わらない部分と、積み重ねた改良。ボルボの歴代最終モデル(=クラシック)が有してきた熟成感が、このX60にも確かにあったのだ。

『電動化の踊り場』で、結果としてボルボXC60のモデルライフは長くなった。
『電動化の踊り場』で、結果としてボルボXC60のモデルライフは長くなった。    平井大介

価格1000万円超と聞くと高価に感じるかもしれないが、総じてその価格も納得の仕上がり。期間中、じわじわと好きになっていったのは本当の話で、これなら長く所有できそうと確信したのである。

……ということで、実はこの後にもう1台、別の熟成感溢れるボルボに乗ることができたので、この話は次回に続きます。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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