延命措置でEX60に備える ボルボXC60 プラグインHV(1) 8年目も美しいSUVのハードを解説

公開 : 2025.08.27 19:05

歴代で最も人気を集める2代目XC60が更新 新鮮味は限定的でも美しい 落ち着ける車内空間に縦長タッチモニター 安楽に毎日を過ごせるプラグインHV らしい操縦性と姿勢制御のバランス UK編集部が試乗

同社歴代で最も人気を集める2代目XC60

ボルボの新しい主力SUVになるであろう、バッテリーEVのEX60は2026年に発売が予定されている。そこまでのつなぎ役として、同社の歴代で最も人気を得た、2代目XC60がリフレッシュされた。

ボルボに限らず、既存のエンジンモデルの延命に務めているメーカーは少なくない。限りある開発費は、充分な利益が生まれるかどうか不明な、EVへ注ぎ込まれている。そんな中で、売れ筋モデルへある程度の投資をするのは、当然といえるだろう。

ボルボXC60 T8 AWD プラグイン・ハイブリッド・ウルトラ(欧州仕様)
ボルボXC60 T8 AWD プラグイン・ハイブリッド・ウルトラ(欧州仕様)

エンジンのラインナップは、従来どおり。B5を名乗る、250psのガソリン・マイルド・ハイブリッド(HV)は継続。欧州以外の市場によっては、300psのB6も選べる。T6で351ps、T8で455psの、プラグインHVもラインナップされる。

見た目の新鮮味は限定的 でも充分に美しい

XC60は四輪駆動が標準で、サスペンションは前がダブルウィッシュボーン式で、後ろはマルチリンク式。リア側には、複合素材のリーフスプリングが横に組まれる点が面白い。軽く小さく、コイルスプリング以上の優れた乗り心地や洗練性が狙われている。

プラットフォームは、XC90と同じSPAを継投する。今回試乗したのは、プラグインHVのT8。英国ではトップグレードになるウルトラで、アダプティブ・エアサスペンションが装備されていた。

ボルボXC60 T8 AWD プラグイン・ハイブリッド・ウルトラ(欧州仕様)
ボルボXC60 T8 AWD プラグイン・ハイブリッド・ウルトラ(欧州仕様)

真面目なブランドらしく、古い構造に新しいボディを被せて、新世代を生み出すことは見送られた。そのため、見た目の新鮮味は限定的ではある。フロントバンパーとグリル、ヘッドライト、テールライト、アルミホイールなどが更新された部分だ。

それでも、スタイリングが前時代的に感じられることはないだろう。充分に美しい。

縦長の11.2インチ・モニター グーグルがベース

今回のリフレッシュでボルボが売りにするのが、デジタル技術の刷新。その中心となるのが、縦に長い11.2インチ・タッチモニターで稼働する、アンドロイド・ベースのインフォテインメント・システムになる。

従来のシステムより表示は鮮明で、反応は高速。コネクティビティ機能も強化された。運転支援システムのメニューが上位の階層へ表示されるなど、改良の結果も見て取れる。物理的なコントローラーがあれば、更に使いやすさは向上すると思う。

ボルボXC60 T8 AWD プラグイン・ハイブリッド・ウルトラ(欧州仕様)
ボルボXC60 T8 AWD プラグイン・ハイブリッド・ウルトラ(欧州仕様)

アンドロイドのスマホを持っていれば、アカウントの同期が可能。筆者はアップル・ユーザーで、本来の機能を最大限には利用できなかった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

ボルボXC60 プラグインHVの前後関係

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