ルノーのトップが自ら試乗する、極秘の新型車(前編) 全幹部を引き連れるセッションに、UK編集部が同行取材
公開 : 2026.06.12 17:05
開発車両の試乗・視察に同行
爽やかで美しい日の朝8時に集合し、まずは屋外で軽くコーヒーを飲みながら、広大なスキッドパンの舗装面に配置された展示車両を眺める。テストコースでの経験が窺える厚手のコートを羽織ったプロヴォスト氏は、筆者を含め全員に同じように親しげな挨拶を交わした。
今日、わたし達にはデザイナーや部門長からなる20名のチームが同行している。その中には、ルノー・グループのデザイン責任者ローレンス・ヴァン・デン・アッカー氏や、ルノーブランドの責任者兼最高事業成長責任者ファブリス・カンボリーヴ氏といった取締役も含まれている。

プロヴォスト氏からは威厳あるオーラが漂うが、本人はそれを誇示する気はないようだ。「これは共同作業です」と彼は言う。途中で最終的な決定を下すこともあるかもしれないが、それはチーム内でメンバー全員が意見を述べた後でなければ実行しない。これは良い意志決定に至るための素晴らしい方法のように思える。誰でも意見を述べることができ、人数も少ないため1つの議論に集中できるからだ。
わたし達は3台の新モデルに向かって歩く。デザイン責任者のヴァン・デン・アッカー氏がクルマのプロポーションをじっくりと鑑賞してほしいと望んだため、あまり近づきすぎず、距離を保つ。どこから話を切り出せばよいか分からず、筆者はプロヴォスト氏に、長いキャリアの初期にあるエンジニアリングの経歴について質問し始めた。
「わたしはエンジニアリングの専門家というわけではありません」と彼は控えめに微笑みながら言った。その英語は、少なくとも筆者と同じくらい流暢だった。
デザインにも積極的に発言
「必要とあれば、言われたことに異議を唱えられる程度の知識はある、といったところでしょうか。ただ、クルマの組み立て工程については豊富な経験があります。かつては、バンパーについて1時間も話し合うことができたものです。しかし今では、eアーキテクチャー、バッテリー技術、パッケージング、効率といった、当社の能力が試される大きな課題があります。重要な事柄に時間を割かなければならないのです」
このCEOにとって、議論が一週間の大部分を占めていることがわかった。月曜日は通常、経営上の意思決定で埋め尽くされている。木曜日は、グループの広大なテクノセンターで過ごし、開発の最新動向を把握する。その合間を縫って、会社の運営が行われるのだ。

わたし達は、すでに開発開始から2年近くが経過している2つのモデル、2028年頃発売予定の『セニック』と、その弟分である『ラファール』に近づく。両車は主要なデザイン要素を共有している。デザイナーたちは、新しいセニックの堂々としたリアデザイン案を紹介し、全員がこれを気に入った。このデザインは市販車に採用されることになる。
2つのモデルが似すぎているかどうかについては議論があり、大多数はそうかもしれないと考えている。あるモデルのフロントフェイスが「ドイツ車っぽすぎる」という指摘もあり、ルノーのダイヤモンドロゴが十分に際立っていないという意見もある。改善が必要だ。
プロヴォスト氏は、提案されたフロント部のデザイン変更には数百万ユーロのコストがかかると筆者に語ったが、彼はその費用を惜しまない構えだ。ルノーのデザイン部門(責任者は就任からわずか4か月のアレクサンドル・マルヴァル氏)は、議論された方向性に沿ってモデルを迅速に調整し、再提示することに同意した。この2車種の承認を得るため、全員にプレッシャーがかかっている。

















































