V12自然吸気を6速MTで味わう秀逸さ フェラーリ『12チリンドリ・マヌアーレ』 キレのある金属的操作感【UK編集部が実車を取材】

公開 : 2026.07.06 12:05

リアルさを追求した操作フィール

マニュアルモードは6速のみであるため、最高速度を発揮する7速および8速に到達するには、オートマティックモードに切り替える必要がある。また、ローンチコントロールの助けを借りて、メーカー公称の0-100km/h加速2.9秒を達成するためにも、同モードへの切り替えが必要だ。

しかし、従来のパドルシフトが廃止されているため、マニュアルモードの重要性は高い。100km/h未満であれば、クラッチを踏み込みギアを選択するだけでマニュアルモードに切り替えることができる。

フェラーリ12チリンドリ・マヌアーレ
フェラーリ12チリンドリ・マヌアーレ    フェラーリ

クラッチペダルの動作は、頑丈なスプリングと連動する、ローラー、ロッカー、ベアリングからなる複雑な機構によって実現されている。このメカニズムはペダル操作の感触を決定づけるものであり、入念な開発を経て完成した。

さらに、ペダルのアームと位置情報を伝えるセンサーがあり、その情報がトランスミッション内部のクラッチパックの作動に即座に、かつ高い精度で反映される。

その結果、スムーズなシフトアップや巧みなレブマッチングによるシフトダウンはドライバーに満足感をもたらし、不器用な操作は逆効果となる。フェラーリによれば、ドライバーがトランスミッションを損傷させることはあり得ないという。

4年かけて開発した斬新なシステム

システム全体の重量はわずか5kg。耐摩耗性が不可欠な特定の箇所では、タイトな操作感と遊びを維持するためにスチールにガス窒化処理が施されており、その他の部分にはアルミニウムが採用されている。

センターコンソールも再設計され、オートマティック用のボタンは主張を抑えつつ、アルミニウム製のゲートはわずかに浮遊しているようなフローティングデザインとなっている。ボール型のシフトノブには伝統的なシフトパターンが刻まれており、モードに応じて白またはオレンジ色のバックライトが点灯する。

フェラーリ12チリンドリ・マヌアーレ
フェラーリ12チリンドリ・マヌアーレ

このシステムの構想は2022年に始まり、開発チームは専用のテスト装置を用いて、ペダルボックスのエルゴノミクスとシフト操作の特性を完成させた。その操作感は、おおむね599をモデルにしている。

12チリンドリ・マヌアーレでは、シルバーのスクーデリア・シールド、サイドに刻まれたモデル名、そしてノーズ部分やリアデッキのアクティブエアロウィングレットに施されたデイトナ風のピンストライプが標準装備される。

また、全車、フェラーリの「テイラーメイド」プログラムの対象となり、特別なボディカラーや内装色を選択できる。

納車は2027年初頭に開始される予定だが、ガリエラ氏は事実上すでに完売状態であることを認めている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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