『マツダ・スピリット・レーシング・ロードスター』は行き先にご用心【日本版編集長コラム#94】

公開 : 2026.08.09 12:05

12Rはここまでハードに感じず

ちなみに別の取材で少しだけ乗った12Rは、同じビルシュタインではあるが、『熟練工による高精度なサスペンションアームの締め付けとホイールアライメント調整』が効いているのか、MSRロードスターの装着タイヤがブリヂストン・ポテンザS001であるのに対し、12Rがヨコハマ・アドバン・ネオバAD009という違いがあるからなのか、ここまでハードに感じなかった。

こうして書いていくと、随分とネガティブな印象に感じるかもしれないが、実はそうでもない。圧倒的な軽さであったり、レベルアップしている回答性能などは、確実にロードスターが持つ美点の延長にあったのだ。

タイヤはブリヂストン、ホイールはレイズ、ブレーキはブレンボをセレクト。
タイヤはブリヂストン、ホイールはレイズ、ブレーキはブレンボをセレクト。    平井大介

また、1.5Lは『自分でクルマを操っている』感覚であるのに対し、2Lは『クルマが走らせてくれている』という違いを感じたのも大きな発見だった。やはり人馬一体に近いのは1.5Lだが、スケールアップを果たした2Lもまた魅力的であった。

1.5LのATモデルも追加取材

さて、そんなことを取材車返却時にマツダの担当者と話していて、そこで勧められたのが1.5Lの6速ATモデル試乗だった。ある意味で、2Lの6速MTであるMSRロードスターとは真逆の存在で、以前取材した2LのRFともまた違うことが想像できた。

取材車は『ロードスターSレザーパッケージVセレクション』。ボディカラーがディープブルークリスタルマイカと呼ばれるネイビーなのは、「街中中心で乗るならありだなぁ」とまずは好印象。

追加で取材することになった、ロードスターSレザーパッケージVセレクション。
追加で取材することになった、ロードスターSレザーパッケージVセレクション。    平井大介

確か1.5LのATに乗るのは今回が初めてだが、そもそも販売比率は1割程度ということで、この広報車も最近設定されたそうだ。

乗り味は、よく知るロードスターのそれだった。路面からの突き上げも特になく、残念ながら取材日が酷暑でソフトトップは早々に閉めるはめになったが、いかにも軽快に走ってくれる。

ATの変速自体は、ピュアスポーツカーとして期待するほどレスポンシブでない。しかし、いい意味で肩の力が抜けていて、ロードスターというオープンカーと長く付き合うには、実はATのほうがいいのではないかと思うようになった。

今回取材したMSRロードスターや1.5ATモデルも、以前取材した12Rも、これまで取材してきた1.5LのMTや2LであるRFなど、それぞれのモデルに特徴や魅力がある。今回のように行き先や用途を間違えなければ、最高のパートナーとなるだろう。

どうやら、1年に一度、多い時には何度もやってくる『マツダ・ロードスターが欲しい病』の対象が、さらに増えてしまったようだ。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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