なぜ『911 GT3』はファンに愛されるのか ポルシェGT部門責任者に聞く(前編) 約25年に渡り伝説を作り続ける中心人物

公開 : 2026.08.25 17:05

規制に対応しつつも妥協は許さない

昨今、排出ガスだけでなくアクティブセーフティに関する規制もますます強化され、ポルシェのGTモデルもそこから免れることはできなくなっている。そんな中で、自身の仕事は以前より難しくなったのかと質問すると、「ええ、間違いなく」という力の込もった答えが返ってきた。

「ブリュッセル(EU本部が置かれるベルギーの都市。事実上のEU首都)が考案するさまざまな要素に関して、わたし達はこれまで以上に努力し、その欠点を補わなければなりません。お客様の99%は、こうしたガジェットに気を散らされたくないのです」

規制強化に伴い、プレウニンガー氏は自身の仕事が以前よりも「難しくなった」と認めている。
規制強化に伴い、プレウニンガー氏は自身の仕事が以前よりも「難しくなった」と認めている。    AUTOCAR

「わたし達は現行の911 GT3の第2世代において、ワンタッチですべてのシステムをオフにする方法を見つけました。要するに『申し訳ありませんが、これは必須機能です。ただ、もし必要ないなら簡単に解除できます。法的な要件を満たさなければならないため、より難しく複雑になりますが、わたし達は諦めません』と言っているようなものです」

走りに限っては、新しい技術や進歩に反対しているわけではない。例えば、新しい素材は常に可能性を広げてくれると彼は説明する。また、「クルマのキャラクターにふさわしい」技術もあり、それがドライビング体験を向上させることもあるという。ただし、クルマが重くなりすぎないよう常に注意を払っている。軽量であることが、あらゆる速度域で運転の楽しさにつながるからだ。

モデルラインナップの細かな棲み分け

「わたしが知るクルマの多くは、本当に高速で走っている時しかドライバーと対話してくれません。それ以外の時は少し退屈です。GTモデルにおいて、そんなことは決してあってはならないのです」

また、技術の進歩により、ラップタイムが重視されるRSモデルのようなハードコアなサーキット向けマシンと、911 S/Tのような公道志向の強いドライバーズカーとに、ラインナップをある程度分ける必要が生じた。

ポルシェ911 S/T
ポルシェ911 S/T

「997の時代には、1台でこの両方のニーズに対応できました。当時はPDK(デュアルクラッチトランスミッション)がなく、サーキット向けのクルマは基本的にとても軽量で、一般道でも極めて機敏な走りを感じさせるものでした」

「今ではサーキットで速く走るためにある程度の技術が必要ですが、ドライバーズカーを好む層は、複雑すぎるとして敬遠しがちです。そこで、ツーリングとGT3、RS、そして現在のS/Tという形で役割を分担しました。両カテゴリーのシェアはほぼ均等であり、GTモデルの顧客層は過去10年間で大幅に広がりました」

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    役職:編集者
    自動車業界で10年以上の経験を持つ。欧州COTYの審査員でもある。AUTOCARでは2009年以来、さまざまな役職を歴任。2017年より現職の編集者を務め、印刷版、オンライン版、SNS、動画、ポッドキャストなど、全コンテンツを統括している。業界の経営幹部たちには定期的にインタビューを行い、彼らのストーリーを伝えるとともに、その責任を問うている。これまで運転した中で最高のクルマは、フェラーリ488ピスタ。また、フォルクスワーゲン・ゴルフGTIにも愛着がある。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

ポルシェGT部門責任者アンドレアス・プレウニンガー氏に単独インタビューの前後関係

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