なぜ『911 GT3』はファンに愛されるのか ポルシェGT部門責任者に聞く(前編) 約25年に渡り伝説を作り続ける中心人物

公開 : 2026.08.25 17:05

「絶対に生きて帰る」 兵士の心の支えに

プレウニンガー氏は、マニュアル・トランスミッションや自然吸気エンジンといった愛好家に好まれる要素を採用し続けているが、そのことに特別な責任を感じているのだろうか?

「お客様が何を望んでいるか、わたし達自身が何を望んでいるか、そしてそうした車両特性を支えるためにどんな技術を使えばいいのか、しっかり理解しています」と彼は言う。

ポルシェ911 GT3 RS(997)
ポルシェ911 GT3 RS(997)

「わたしは適度なプレッシャーや責任が好きです。自分の仕事に対する理解がより深まりますから。ここで働く全員が、『誰も必要としていないけれど誰もが欲しがり、笑顔を生み出すクルマ』を作っているという理念に共感しています」

彼は、アフガニスタン戦争に従軍していたある米国の退役軍人の話を語ってくれた。従軍中のある日、兵士のもとへ母親から送られてきた支援物資の中に、997型GT3 RSの発売に際してプレウニンガー氏がインタビューに応じた雑誌が入っていたのだ。兵士はGT3 RSに一目惚れし、戦争が終わったら必ず買うと誓い、それが生きる支えとなった。兵士は、母親からの手紙の内容と共に、その思いをプレウニンガー氏に伝えた。

「このクルマが、気分を高め、心を癒し、ポジティブなエネルギーを呼び起こしてくれるという話をよく聞きます。彼らは感謝の気持ちを伝える相手を探しているのです。通常、消費財に対してそんな感情を抱くことはないでしょう」

(翻訳者注釈:この記事は「後編」へ続きます。)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    役職:編集者
    自動車業界で10年以上の経験を持つ。欧州COTYの審査員でもある。AUTOCARでは2009年以来、さまざまな役職を歴任。2017年より現職の編集者を務め、印刷版、オンライン版、SNS、動画、ポッドキャストなど、全コンテンツを統括している。業界の経営幹部たちには定期的にインタビューを行い、彼らのストーリーを伝えるとともに、その責任を問うている。これまで運転した中で最高のクルマは、フェラーリ488ピスタ。また、フォルクスワーゲン・ゴルフGTIにも愛着がある。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

ポルシェGT部門責任者アンドレアス・プレウニンガー氏に単独インタビューの前後関係

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