史上初のフル電動化 レンジローバー・エレクトリック正式発表(1) 優れた走破性を誇る高級SUV、15万ポンドから

公開 : 2026.09.04 07:20

オフロードでの走破性能は「驚異的」

レンジローバー・エレクトリックの車重はPHEVモデルより75kg重く、約2885kgとなる。しかし、V8モデルより重心が88mm低く、『レンジローバー・スポーツSV』と同じツインバルブダンパーや、車高調整機能付き2チャンバーエアスプリングと最大7.3度のリアアクスルステアリングを維持することで、そのサイズと重量に対応している。

オンロードでの走行感覚は、内燃機関モデルに可能な限り近づけるよう設計されている。レンジローバーシリーズの他モデルより車高が15mm低く、最低地上高も29mm低いが、最大渡河深度は900mmと走破能力に遜色はない。

レンジローバー・エレクトリック
レンジローバー・エレクトリック    JLR

バッテリーパックと駆動系は下部で完全に密閉されているが、渡河時の冷却用として高所に通気口が設置されている。しかし、内燃機関モデルと同様に、最終的に渡河深度を制限するのは水の浸入ではなく、車両が浮き上がってトラクションを失うというものだ。

重量増加やブレークオーバーアングルのわずかな低下を除けば、電動化はオフロード走行において複数の利点をもたらす。低速ギアや高速ギアに切り替えるために停止する必要は一切なく、シニアテクニカルスペシャリストのジェイソン・ウォルターズ氏によれば、スロットルレスポンスは「はるかに寛容」だという。同氏はさらに、電気モーターの素早いレスポンスとコントロール性により、EVは砂地で「驚異的」な性能を発揮すると語った。

電気モーターは社内で開発・生産

4モーター構成も検討されたが、重量増を招く上、1本の車輪に供給できる動力は1基のモーター分に限られるという欠点があると述べた。レンジローバー・エレクトリックのディファレンシャルはオープン式だが、ブレーキによって空転している車輪を停止させれば、グリップのある車輪にその車軸全体の出力を供給できる。

電気モーターの開発は、特に課題の多かった分野の1つだ。当初はフロントアクスルにインダクションモーターを採用しようとしていたが、フェアブラザー氏によれば「期待通りの性能は発揮したものの、安定性に欠けていた」という。過酷なオフロード条件下では過熱し、フルパワーを発揮できなくなっていたそうだ。

レンジローバー・エレクトリック
レンジローバー・エレクトリック    JLR

フェアブラザー氏は「市販品には適したものが見つかりませんでした。そこで、すべて社内で開発しました」と語った。

モーターは、英国ウルヴァーハンプトンにあるJLRの電気推進製造センター(EMPC)で生産される。ここはかつてエンジン工場だった施設で、JLRはモーターとバッテリーパックの生産のため、3億5000万ポンド(約740億円)以上を投資している。

(翻訳者注釈:この記事は後編の「2」へ続きます。)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    役職:編集委員
    新型車を世界で最初に試乗するジャーナリストの1人。AUTOCARの主要な特集記事のライターであり、YouTubeチャンネルのメインパーソナリティでもある。1997年よりクルマに関する執筆や講演活動を行っており、自動車専門メディアの編集者を経て2005年にAUTOCARに移籍。あらゆる時代のクルマやエンジニアリングに関心を持ち、レーシングライセンスと、故障したクラシックカーやバイクをいくつか所有している。これまで運転した中で最高のクルマは、2009年式のフォード・フィエスタ・ゼテックS。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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