そろそろ準備したい冬タイヤ ダンロップの新型スタッドレス『ウインターマックス・アイスプロ』は氷上性能特化型で勝負【タイヤの達人が解析】

公開 : 2026.09.27 07:45

アイス性能の大幅な進化を体感

試乗した感触でも、アイス性能の大幅な進化を体感することができた。

テストコース内ではフォルクスワーゲン・ゴルフ+205/55R16で試乗したが、氷盤路に乗った瞬間からアイスプロと比較用に準備されたマックス03の差は明瞭だった。当日の氷盤路のμが低かったこともあるのだろうが、マックス03は氷盤路上でのゼロ発進でなかなかスピードが乗らず、加速で意図しないタイヤの空転が多かった。

テストコース内ではフォルクスワーゲン・ゴルフ+205/55R16で試乗。
テストコース内ではフォルクスワーゲン・ゴルフ+205/55R16で試乗。    田中秀宣

これに対してアイスプロは、タイヤの空転の具合も少なく車速のノリも良かった。そこからのブレーキも明らかに短く、初速度20km/hからのブレーキで、クルマ半車身以上の差があった。

アイスブレーキで特徴的だったのは、ブレーキング時のグリップ感だ。

ベタッと氷の路面にタイヤが密着しているような感覚は意外に希薄。ところが、減速中トレッド面が作り出すコンパウンドグリップに加え、ゴムの変形やエッジなど様々な力を総動員しているような減速感があり、結果として短く止まる、そんな感覚があった。もちろん減速感も強めにあるので、ブレーキング中の安心感もある。

また、15km/h前後で行った氷上スラロームでは、ステアリングを切り出した時の応答はアイスプロがよく、またステアリングが効きクルマの向きをかえやすかった。舵角を増していっても、グリップが唐突に抜けてしまうようなことはなかった。

ただ、200度以上の深い舵角領域では、マックス03のほうがグリップの落ち込みが少なく感じられた。このあたりはタイヤプロファイル(断面形状)の違いによるものだろう。

圧雪路面ではマックス03も健闘

テストコース後半の圧雪路面ではマックス03も健闘。圧雪路での停止状態からの発進では、しっかりとトラクションがかかるし、そこから続く軽い上り坂の旋回では、速度を上げていくと徐々にリアが滑り出し、楽しく走ることができた。

アイスプロは、氷上でのステアリング操作同様に初期応答がよく、スーッとクルマが軽々と向きを変えてくれた。旋回中車速を上げていってもリアのグリップがしっかりしており、容易には滑り出さない。同じ速度ならアイスプロのほうが安定性が高かった。

スラローム区間でも、アイスプロは少ない舵角でパイロンをクリアできた。
スラローム区間でも、アイスプロは少ない舵角でパイロンをクリアできた。    田中秀宣

ストレート部分には、パイロンが並べられたスラローム区間が設定されていたが、ここでもアイスプロは少ない舵角でパイロンをクリアでき、応答の良さが舵角の少なさとして現れており、リアタイヤの安定感も高かった。

そこでスラロームの進入スピードを上げ、意図的にリアタイヤを滑らせるような走り方を試してみても滑り出しが穏やかで、グリップの戻り方にも癖がなく、扱いやすかった。

敢えて言えば、グリップ性能の割にステアリングの手応え(≒接地感)が乏しく感じられ、もう少し手応えが明瞭だと、より安心して走れると思った。

記事に関わった人々

  • 執筆

    斎藤聡

    1961年生まれ。学生時代に自動車雑誌アルバイト漬けの毎日を過ごしたのち、自動車雑誌編集部を経てモータージャーナリストとして独立。クルマを操ることの面白さを知り、以来研鑽の日々。守備範囲はEVから1000馬力オーバーのチューニングカーまで。クルマを走らせるうちにタイヤの重要性を痛感。積極的にタイヤの試乗を行っている。その一方、某メーカー系ドライビングスクールインストラクターとしての経験は都合30年ほど。
  • 撮影

    田中秀宣

    Hidenobu Tanaka

    写真が好きで、車が好きで、こんな仕事をやっています。
    趣味車は89年式デルタ・インテグラーレ。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

関連テーマ

おすすめ記事