ボナムス・レ・グランデ・マーキス・ドゥモンド・グランパレ・オークション

●2017.02.09 グランパレ／パリ／フランス
レトロモービル・ウイークでRMサザビースに続いて開催されたのが、グランパレを舞台にしたボナムスのレ・グランデ・マーキス・ドゥモンド・グランパレ・オークションである。

 
ボナムスは1月のアリゾナでのスコッツデイル・オークションを終えて、2月になるとパリでレ・グランデ・マーキス・ドゥモンド・グランパレ・オークションを開いた。レトロモービルは世界中からエンスージァストが集まる人気イベントだけに、オークションハウスには無視できない存在にある。それだけに現在はRMサザビース、ボナムス、アールキュリアルの3社がレトロモービルの開催期間中にオークションを開いている

ボナムス・レ・グランデ・マーキス・ドゥモンド・グランパレ・オークションの舞台は、1900年のパリ万博万国博覧会のために建造された展示会場のグランパレだ。鉄骨とガラスを組み合わせた屋根からは陽光が差し込み、かつてはパリ・サロンも開催されていた場所だけに、ヒストリックカーには相応しい会場といえる。

ボナムスにとって気合いの入ったオークションだけに、選りすぐりの131台が用意された。とはいえ極め付けのモデルは僅かで、一般のヒストリックカー・ファンに向けたお値頃のモデルが多いのが特徴で、場所がら新旧のフランス車も並んだ。またフランス人が大好きな恐竜時代のアメリカ車も用意されていた。

オークションを終えてみると億超えで落札されたのは3台だけで、その顔ぶれを見れば投機的なモデルではないことが分かろう。アストン・マーティン・アルスターは1935年のワークスカーでル・マンで入賞してヒストリーがあるだけに順当といえる。2番値のベントレー S1コンチネンタル・カブリオレは、コンディションの素晴らしさと31台のみという希少性に加え、ギリシャの海運王だったジョージ・エンビリコスが所有していたヒストリーが評価されたようだ。

最近人気上昇中のポルシェ356初期モデルだが、それを裏付けるようにスピードスターがトップ10へ2台が食い込んでいる。オークションで鉄板の存在だったフェラーリは低調で、特別な理由のないモデルは敬遠され、モダンモデルも値下り傾向にある。ここに出品されたフェラーリ575M マラネッロは日本にあった車両で、高値で転売するつもりでバイヤーが買い付けたと思われるが、最終的には988万円という残念な結果に終わってしまった。一方でアストン・マーティンのDBSやV8がジワジワと値を上げている。高くなってしまった’60年代のモデルの反動で人気を集めているのかもしれない。トップ10は以下の通り。

1935年型アストン・マーティン・アルスター 2座 スポーツ/201.25万ユーロ/2億4352万円、
1957年型ベントレー S1コンチネンタル・カブリオレ/106.95万ユーロ/1億2941万円、
1955年型メルセデス・ベンツ 300SL ガルウイング/101.6666万ユーロ/1億2302万円、
1939年型マイバッハ SW-38 スペツィアル・カブリオレ/67.275万ユーロ/8141万円、
1923年型ブガッティ・タイプ 27 ブレシア・トルペード/50.6万ユーロ/6123万円、
1959年型フェラーリ 250GTクーペ・シリーズ 1/43.7万ユーロ/5288万円、
1977年型ランチア・ストラトス/37.375万ユーロ/4523万円、
1955年型ポルシェ 356 プリA 1500スーパー・スピードスター/36.8万ユーロ/4453万円、
1938年型メルセデス・ベンツ 320 3.2ℓ カブリオレ B/35.65万ユーロ/4314万円、
1957年型ポルシェ 356A スピードスター/33.925万ユーロ/4105万円、

このほか人気を集めたのがルノー 5 ターボ・ツールド・コルス・グループB ワークスカーだが、ラリーカーという特殊性からか2366万円に終わっている。このほかランチア・ストラトス・グループ4とフェラーリ 308GTB グループ4も出品されていたが、どちらも後年になって改造されたものだけに入札が進まず流れてしまった。最近は安めの傾向にあるにポルシェ914/6だが、ここでは2227万円で落札されている。この914/6はクレマー・レーシングがドイツ・マウンテン・チャンピオンシップ(ヒルクライム)用に制作したもので、1971年シーズンに活躍した個体そのもの。現在のツアー・オートにも参加できるヒストリーを持つだけに、ここまで競り上がった。

リストを仔細に見てゆくと現実的な額で終えているフレンドリーなアイテムが多いのが分かる。安い方から書き出すとランド・ローバー・シリーズI ピックアップの84万円から、ジャガー 420G サルーン(91万円)、ルノー・ゴーテ・ピックアップ(98万円)、CAP-フィアット 500 スコイアットーレ(112万円)、シムカ 1000 クーペ(140万円)、フィアット 130 クーペ(140万円)、ランチア・フルヴィア 1.2 クーペ(195万円)、マセラティ・クアトロポルテ III 4.9(209万円)となり、それなりのヒストリック・モデルが買えてしまうのは羨ましい限りだ。