長期テスト スズキ・イグニス(1) 小さなボディに詰まる魅力を評価

公開 : 2018.04.03 19:10  更新 : 2018.04.10 16:14

オフロードを完全無視ではない

最近のオフローダー風のクロスオーバー(ルノー・キャプチャープジョー2008、ヴォクゾール・クロスランドXなど)と違って、イグニスは4輪駆動である。極めて一般的なトルク・センシンシング・システムで、前輪のスリップを感知すると、リアルタイムでリアにトルクを分配する。スズキはこれを「オールグリップ」と呼んでいる。

同価格帯のダチア・ダスターと異なりイグニスには4輪駆動に固定するモードはないが、ちょっとしたオフロードでは問題ないだろう。われわれが踏み固められた道から遠く離れて冒険に行くことなどあるまい。

オーバーハングは短くアプローチ・デパーチャーアングルを確保しているが、舗装路向けのタイヤと最低地上高の低さのため、ランドローバーディフェンダーの廉価版とはいかない。

当然、多くのAUTOCAR読者のように、かなりのクルマ経験を積んだひとにとってはこれらの技術はとても興味深いだろうが、典型的なイグニスのオーナーはインテリアなど、日々目につく部分に興味を示すだろう。

気になるイグニスの装備面

SZ5グレードでは、豊富な装備が標準で付いてくる。実際われわれが追加でつけたオプションは「ファーベント・レッド・ペイント/ブラックルーフ」の650ポンド(9万7000円)のみだ。これで駐車場でクルマを見つけるのが多少かんたんになったはずだ。

では、オプションを含め1万4899ポンド(222万4000円)のクルマの他の装備も見ていこう。まずはタッチスクリーン・インフォテインメント・システム。ブルートゥース、Apple CarPlay、Android Autoに衛星ナビゲーションシステムまで利用でき、リアビューカメラも装備している。

フロントにもカメラが2基ついており、自動ブレーキシステムのために使われる。LEDヘッドライトはオートレベリング機能付きだ。他にもオートエアコンや電動パワーウインドウ、キーレスエントリーもある。

それでも満足できなければ、大型SUVのような個別にスライド・リクライニングができるリアシートも用意されている。一番後ろまで下げれば後部座席に巨大なレッグルームが現れる。天井も高く、大人でも頭を擦らずに済む。

イグニスは乗っても魅力的なクルマに仕上がっている。絶対的な速さには欠けるが活発で刺激的、エンスーなクルマだ。レブリミットまで回しても燃費は良い。

コーナーでも楽しめる。われわれのイグニスは最上級グレードだが、それでも重量は920kgに収まる。少々車高は高いが、くるくると向きをかえる。グリップも良く、アンダーステアまでにかなり粘る。

スロットオフでコーナーに進入すれば、リアからかすかに曲がっていくのがわかる。全くスポーティには見えないが、良い意味で印象を裏切る楽しいクルマだ。

今のところ全ての点で有望に思えるが、率直な結論を下すのは2月だ。まだまだ時間はある。テストチーム全員に乗ってもらい、感想を聞くのが楽しみだ。

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