長期テスト スズキ・イグニス(1) 小さなボディに詰まる魅力を評価

公開 : 2018.04.03 19:10  更新 : 2018.04.10 16:14

イグニスにはアピールポイントがたくさんあるように見えます。使いやすいテクノロジーに4輪駆動、マイルドハイブリッドなど。ではこのベイビーSUVはスペックシート通りの優れたクルマなのでしょうか。実際に購入し、8カ月ほどの時間をかけて確かめます。

もくじ

突飛な超小型クロスオーバー
室内環境や装備は?
気になるイグニスの装備面
テスト車について
追加した装備一覧
テストの記録

突飛な超小型クロスオーバー

スズキはこのところ、名前をつけるのに難儀しているようだ。去年はバレーノの名を使っていたが、次は過去の遺産から「イグニス」の名を引っ張り出し、スーパーミニSUVの名となった。

ネーミング部門が頭を振り絞っている一方、デザイナーはインスピレーションに溢れているようだ。

新型イグニスはフォードフィエスタよりも全長が短いが、スズキのトップ・デザイナーたちはタフでキュート、4×4感あふれるボディを作り出し、このクラスのクルマとは少し違ったルックスに仕上げた。

わたし個人としては長靴を履いたパグ犬をイメージしてしまう。

過去へのオマージュも感じられる。斜め上へと跳ね上がっていくウインドウラインや、Cピラーに斜めに入った3本のベントは1970年台半ばのスズキ・ウィズキッド・クーペ(日本名セルボ)を思い出す。しかし、内部はもう少しハイテクだ。

われわれの長期テスト車はトップグレードのSZ5である。1.2ℓ4気筒エンジンにSHVS(スマート・ハイブリッド・ビークル・バイ・スズキ)と呼ばれるハイブリッドシステムを搭載している。トヨタプリウスレクサスNX300hのシステムと似ているが、SHVSはキャビンスペースを圧迫するような大きなバッテリーを持たない。

代わりに助手席下に小さなリチウムイオンバッテリーを積んでいる。エンジンスターターと発電機を兼ねており、べルトを介してエンジンとつながっている。

これのみで走るには力不足だが、低い回転数でトルクが不足するガソリンエンジンにとって、プラス5.1kg-mは有用だ。SHVHはエネルギー回生を行うため、エンジンがギアと繋がっていれば、スロットルオフ時にバッテリーが充電される。

ではなぜEVモードを搭載していないのに、このようなシステムを持っているのだろうか? かんたんに考えれば、1.2ℓの小排気量エンジンをもっと大きく感じさせるためだ。

誰もが交差点のスタートで出遅れたくはないが、燃費も気になる。このシステムがあれば低い回転数で燃料消費を抑えることができる。今までのところ、特に意識しなくとも19.1km/ℓは出ている。

嬉しいことに、このエンジンは高回転まで回しても楽しい。 ターボ車が増え、4500rpmから一定のパワーが得られるが5500回転には息絶えてしまうクルマが多い中、回せば回すほどパワーが出てくるというのは素晴らしいことだ。荒々しいエンジンサウンドを好まない人もいるかもしれないが、わたしは好きだ。

イグニスの突飛さはまだまだ続く。

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