ポルシェに挑むホットハッチ メガーヌR26R vs ケイマンS 前編 回顧録

公開 : 2018.04.30 08:10

大幅な軽量化

こうしたスペックを見たうえで乗り心地を想像したなら、かなりゴツゴツした感触を思い浮かべるのが自然だろう。

ところが違うのである。英国ルノー本社のエントランスにある縁石の段差を下りるときも、R26RはR26と変わらない繊細なダンピングを伝えてきた。大幅な軽量化のおかげで、スプリングレートをR26より10%も下げられたからだ。

確かにどちらかと言えば硬い乗り心地であるのは否定しようがないが、やみくもに硬められているわけでは決してない。シャシーではそのほか、ダンパーをよりハイスペックなものに交換してリセッティングし、さらにロアアームのブッシュを硬め、そして新型のアロイホイールによってトレッドを4mm拡大している。

軽さは加速感にも表れる。シフトストロークの短いトランスミッションのギアレシオがノーマルよりちょっと高速寄りになっているのだが、2名乗車で撮影機材を満載していても、R26に遜色ない加速感なのだ。

ただし、全開にしたときのチタン製エグゾーストの鳴りっぷりは凄まじい。遮音材が省かれてウインドウが薄いポリカーボネート製になっているせいで、まるで窓を開けっぱなしにしているかのようだ。

そうそう、そのウインドウなのだが、よく見ると意味ありげなロゴが、意図的に目立たぬように選んだとしか思えないブラックで記されている。そこにあるのは「8m17s」の英数字だ。R26Rがニュルブルクリングで叩き出したラップタイムである。これはFFハッチバックとしては確かに速い。自慢したくなるのも無理はない。

が、正直に言ってしまうと、わたしとしては460万円もするならこのくらいは出せて当然だろうと、少々シニカルな気分になったのも事実である。

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