プジョー208 1.6 e-HDI アルーア

公開 : 2012.03.14 14:33  更新 : 2017.05.29 19:01

■どんなクルマ?

ここ20年で最も重要なプジョーだといっても過言ではない。このプジョー208は、1980年代にヒットした伝説の205シリーズを引き継ぐスーパーミニだからだ。

Bセグメントは、プジョーの販売の40%を占める重要なポジションにある。そしてこの新型は、プジョーの材質と生産クオリティ、そして新しいデザイン・スタイルの標準となるべきモデルで、ベストセラーとなった205や206の売上を復活させ、2000年代の比較的不成功だった207で失った失地を回復するという役割を持たされている。

1983年に205を販売した時からプジョーは1,500万台のスーパーミニを作り続けてきた。しかし、207は僅かに240万台しか作られなかった。スーパーミニ・クラスは、ヨーロッパにおいては30%の売上を占めるが、2001年の480万台よりは少ない410万台のセールスであった。2001年当時、206はライバルとなるモデルが16だったのに対し、208は現在27のライバルを持つ。

それでもプジョーは、年間55万台を来年ヨーロッパと南アフリカで販売すると自信満々だ。そして、その割合はガソリンとディーゼルが半々になると予想している。

■どんな感じ?

フィアット・パンダのような新しいボディとインテリアを与えられた208だが、完全に新しくなったプッラットフォームとサスペンションが与えられている。装備によって4つのバージョン(アクセス、アクティブ、アルーア、フィライン)が用意され、68bhp1.4リッター・ディーゼルにはじまり156bhpの1.6リッター・ガソリン・ターボまで、3つのディーゼル・エンジンと5つのガソリン・エンジンが選択できる。115bhpの1.6リッター・ターボ・ディーゼルのみ6速マニュアル・ギアボックスで、それ以外は標準として5速のマニュアル・ギアボックスが標準装備となる。

ボディ・タイプは3ドアと5ドアの2タイプ。サスペンションは、フロントがマクファーソン・ストラット、リアがツイステッド・ビームで、ホイールベースは207と同じサイズである。意外なことに、207よりも全長は70mm短く(主にフロントのオーバーハングの削減による)、110kgも軽い。

3気筒エンジンを搭載するエントリー・レベルの1.0リッター・アクセスの3ドアは、重さが207の低パワー版よりも170kgも軽い975kgで、価格は9,995ポンド(108万円)になるだろうと予想される(正式な価格は来月発表される)。

われわれがテストしたモデルは、トップ・エンドの115bhpターボ・ディーゼル・エンジン搭載車で、208では唯一のストップ・スタート・システムと、6速ギアボックスを持つモデルであった。

そのスラリとした外見からは、208は現代的で可愛いく見える。でっぷりとした207から一転して軽さと敏捷さをアピールするかのうようなサイドの凹みと、新しいフローティング・グリルによって、これが新しいプジョーだと認識できる。

インテリアは、高い品質の材質が使われている。また、興味をそそる3つの新しい装備がされている。一つは小径のステアリング・ホイール、もう一つが視覚的にステアリング・ホイールの内側に収められたフェイシア・レイアウト、そして最後が80%のモデルに付く高く近い位置に配置されたタッチ・パネル・スクリーンだ。そのデザインは207とも異なるし、ライバルとも異なる。

プジョー208が、現在市場に出ているスーパーミニと比べてもベスト・ドライビング・カーであるということは、最初の100メーターも走れば明らかだ。115bhpのディーゼル・エンジンは、中速域で優雅で、速く、そして力強く、とりわけ高速クルージンを得意とすることがよく分かる。乗り心地は、ひどい突き上げを感じさせるスタンダートなフィエスタやポロとは別で、安定していてロード・ノイズも抑えられている。ポルトガルの悪路で試乗した感じは、英国の悪路でも十分に対応できそうな様子だった。

ステアリングも落ち着きがあり、しかも正確だ。コーナリング・レベルも高い。最終的にはアンダーステアが顔を出すが、激しいコーナリングでも208は非常に安定していた。全てのモデルに標準のESP(スタビリティ・コントロール)だが、めったに作動することはなかった。

運転していて愉しいクルマであり、その小柄なサイズが更に拍車をかける。

但し、ドライビング・ポジションは論争の的になりそうだ。誰にとっても好都合というポジションでないからだ。また、115bhpのディーゼル・エンジンはトップ・エンドでの魅力にかけるようだ。更に言うならば、5ドアのスタイルは、3ドアほど堂々としていないように感じた。

しかし、この新しい208は、一度失ったスーパーミニの支配をプジョーが取り戻す大きな武器となるに違いない。

■「買い」か?

おそらく「買い」だ。プジョーのこのスーパーミニは、信頼を裏切らないだろう。あなたがプジョー205を好きであったのなら、この208はその感触を呼び戻ることになるだろうし、そして、そこには今までのフレンチ・レベルではない高い品質もついてくる。

例え、他のスーパーミニを買ってしまったとしても、6月に英国で208が販売開始された時に、再検討する余地すらあるかもしれない。

(スティーブ・クロプリー)

プジョー208 1.6 e-HDI アルーア

価格 13,000ポンド(141万円) 予想
最高速度 190m/h
0-100km/h加速 10.8秒
燃費 26.3km/l
Co2排出量 99g/km
乾燥重量 1090kg
エンジン 直列4気筒1560ccターボ・ディーゼル
最高出力 115bhp/3600rpm
最大トルク 27.5kg-m/1750rpm
ギアボックス 6速マニュアル

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