一般のクルマ好きを含む、幅広いクルマを対象とした「ロンドン・オリンピア・オークション」が開催されました。しかし、5台出品されたフェラーリがすべて流札に……。

text：Kazuhide Ueno（上野和秀）　photo：BONHAMS

トップ10はすべて英国車

12月1日にボンド・ストリート・セールを開催したボナムス。その2日後にロンドンのウエスト・ケンジントンにある見本市会場「オリンピア」で、2018年最後のオークションが開かれた。こちらは会場のスペースが広いこともあり戦前車から現代のモデルまで78台を用意。

あわせて94点ものカタログ、マニュアル、パーツ、ラジエターマスコットなどのオートモビリアも並んだ。

オークションというと高価なモデルが並ぶイメージがあるが、オリンピアでは1万ポンド（145万円）以下の現実的な額に代表されるように、フレンドリーなラインナップを用意。最も古いモデルは1913年サンビーム12/16hp ツアラーで、最も新しいのは2013年フェラーリF12と、ベテラン・ファンから若いファンまで対応する幅広いモデルが取り揃えられた。

イギリスの愛好家を対象としたオークションだけに、最終的に落札されたトップ10はすべて英国車で、最高落札額を記録したのは1921年ロールス・ロイス40/50hpシルバーゴースト・ロンドン-エジンバラ・ツアラーの4002万円だった。さらに、トップ10の半分は戦前車で、最も新しいモデルが1962年ジャガーEタイプ・シリーズ1 3.8Lクーペ（1418万円）と聞けば、このオークションの傾向が分かろう。

フェラーリは全滅

いつもはオークションの主役といえるフェラーリだが、ここでは影が薄くディーノを含む全車が最低落札額に届かず落札されなかった。同様に現代のスーパースポーツ系、アストン マーティンV12ヴァンキッシュやポルシェ996、ホンダNSXもさっぱり。しかしポルシェでも356と930となると別で、出品された3台が全て落札されている。

最低落札額の設定は現実的だったようで、順当な値段で落札され落札率は66.66%とまずまずだった。高額で落札されたクルマを見てゆくと、それぞれ必然性がある。2台出品されたロータス・コルチナは634万円と1334万円と大きな差があるが、後者はアランマン・レーシングで活躍したヒストリーが評価されたもの。2番値となる2919万円で落札された1953年アストン マーティンDB2ヴァンテージXシリーズは、スターリング・モスの息子のエリオットが所有していたヒストリーを備えていた。

全般的に趣味人を対象としたオークションだったため、人気を反映した適正な額で終えていることが分かる。バブルで値上がりしてしまったクルマに対しても冷静に判断されており、これからの動向を示しているのかもしれない。

ボナムス・ロンドン・オリンピア・オークション　結果一覧

価格は落札手数を含む額。日本円への換算は、オークション開催当日の為替レートを基に計算。
NS=落札不成立。日本円価格の括弧内の金額は、主催者が発表した予想落札価格。