レトロモビルの開催期間中に、3つのオークションがパリで開催。ボナムスは、かつてパリサロンが開かれたグランパレを会場にし、戦前車を数多く用意。久しぶりのクラシックカー・オークションといえるマニアックな内容で行われました。

text: Kazuhide Ueno（上野和秀）　photo: BONHAMS

1/3を占める戦前車

今や世界を代表するクラシックカー・イベントとなったレトロモビルは、充実した内容が評価され世界中から観客を集めるほどに成長した。それとともにパリ市内でコレクターズカ―・オークションが開かれるようになり、今年も大手3社の競演となった。

ボナムス・オークションはかつてパリサロンに使われ、近年であればツアー・オートのスタート・ポイントとしてもおなじみの会場。鉄骨とガラスを組み合わせた屋根が特徴の歴史的建造物であるグランパレ（パリ6区）が今年も舞台となった。

最近のコレクターズカ―・オークションは、どれもフェラーリやポルシェなどの人気車を中心にした新しいモデル中心の内容で開かれることが多いが、ここでは珍しく戦前車を数多く取り揃えたベテラン向けといえるラインナップが用意された。会場が広くワンデイ・オークションながら144台が並び、その内3割強といえる51台が戦前車という、極めてマニアックな内容。逆に21世紀のクルマは1台だけで、’60年代を中心としたラインナップは近年ほとんど見られないものである。

最高額　1939年ベンツ540KカブリオレA

このように戦前車と60年代前後にシフトした内容のオークションだけに、落札額上位もいつもとは違ったモデルたちが占めた。最高落札額を記録したのは戦前を代表する存在である1939年メルセデス・ベンツ 540K カブリオレ Aの1億9766万円だった。ちなみにトップ10の内6台が戦前車で、最も新しいのが1974年のフェラーリ 365GT4 BBということからも、このオークションの方向性が見えてこよう。

2位から10位までの内容は以下のとおり。8位は同額が3台並んだ。
1955年メルセデス・ベンツ 300SL ガルウイング（1億5094万円）
1928年ベントレー 6 1/2L フォーライト・ウェイマン・ファブリック・スポーツサルーン（1億4375万円）
1950年ポルシェ 356 スプリット・ウインドウ（1億0063万円）
1931年ベントレー 8L スポーツ・ツアラー（9847万円）
1974年フェラーリ 365GT4 BB（3479万円）
1937年アルファ・ロメオ 6C-2300 ベルリーナ（3307万円）
1939年BMW 327/328 シュポルト・カブリオレ（2660万円）
1958年BMW 503 3.2L シリーズ II クーペ（2660万円）
1934年ラゴンダ M45 T7 ツアラー（2660万円）

全般的に見ると10万ユーロ（1250万円）以下、中でも5万ユーロ（625万円）以下のお値頃といえる価格帯の車両が活発に落札されていた。また最低落札額の設定も低目と言えた。

パリでのオークションだけにフランス車も充実しており、出品車の1/4を占める内容だった。戦前車でいえばブガッティから、ドライエ、ドラージュからクレモン・バヤールなどマイナー車まで取り揃えられていたのは特筆するに値する。戦後のモデルではシトロエン2CVが1951年の初期型からサハラなど各年式が用意された。ここで注目を集めたのは2CVサハラで、400台のみが作られただけの希少車だけに1093万円まで値を上げ、走行292kmとほとんど新車といえる最終モデルとなる2CVチャールストンは345万円で落札された。

ヤングタイマー・モデルではルノー5アルピーヌやシムカ・ラリー3が人気を集めていた。

ボナムス・ルグランデ・マーキュー・ドゥモンド・グランパレ・オークション　結果一覧

価格は落札手数を含む額。日本円への換算は、オークション開催当日の為替レートを基に計算。
NS=落札不成立。日本円価格の括弧内の金額は、主催者が発表した予想落札価格。