BMWのオープン2シーター中興の祖 BMW Z3 アメリカ生まれのオープンエア

公開 : 2019.11.09 05:50

マツダ・ロードスターから始まった1990年代半ば勃発のライトウエイト・オープンスポーツカーブーム。その間に登場したBMW Z3にスポットを当てます。ベースとなったクルマやグレードをおさらいしましょう。

もくじ

オープンカーを育む北米市場
キーワードは北米とマツダ?
ライトウエイトから本筋への回帰

オープンカーを育む北米市場

text:Takuo Yoshida(吉田拓生)
photo:Satoshi Kamimura(神村 聖)

オープンスポーツカーにはいつの時代も一定数の需要がある。開放的なクルマの繁栄をけん引してきたのは北米市場だった。

例えば燦さんと太陽光が降り注ぐアメリカ西海岸カリフォルニアにおいて、オープンスポーツカーはアメリカントラックと同じくらいポピュラーな乗り物なのである。

ロングノーズ・ショートデッキを地でいくZ3。4気筒モデルの車重は1270kg、6気筒モデルはこれより60kgほど重くなる。当時の広報写真の雰囲気からして北米市場を意識していたものであることがわかる。
ロングノーズ・ショートデッキを地でいくZ3。4気筒モデルの車重は1270kg、6気筒モデルはこれより60kgほど重くなる。当時の広報写真の雰囲気からして北米市場を意識していたものであることがわかる。

ヨーロッパ製のオープン2シーター・スポーツカーの多くは、今も昔もそのほとんどが北米市場に向けに作られ、彼の地で消費されていく。

だったらいっそのこと生産も北米で行えば手っ取り早い。BMWは1994年にアメリカ、サウスカロライナ州にスパータンバーグ工場を建設し、Z3を作りはじめる。

現在はSUVのXシリーズの生産拠点としても知られる新工場の建設は、SUV全盛の今になってみれば先見の明があったと言えるだろう。

北米というキーワードを踏まえてZ3を観察すると、Z3のアグレッシブなスタイリングはフォード・マスタングやシボレー・カマロの影響を受けているように思える。

だがBMWの歴史を振り返ってみれば、Z3が1950年代半ばに登場したオープン2シーターであるBMW507の遠い子孫であることが理解できるはずだ。

特にフロントタイヤのすぐ後ろ、ボディサイドのエアアウトレットにBMWのエンブレムを据えるデザイン手法は完全に507のそれを踏襲しているのである。

キーワードは北米とマツダ?

歴史的に見るとオープンスポーツカーは、その時代に最も数多く生産されていたモデルのコンポーネンツを流用して作ることが多い。BMWであればそれは3シリーズということになる。

Z3の場合はE36/7、E36/8という型式からもわかる通り、1990年にデビューしていたE36型3シリーズの流れをくむ。

BMWが高級化路線を模索していた時代に登場した507もやはり北米市場を狙い、エルビス・プレスリーをはじめとする有名人たちに愛された。スカットル付近のエアアウトレットがZ3に受け継がれている。
BMWが高級化路線を模索していた時代に登場した507もやはり北米市場を狙い、エルビス・プレスリーをはじめとする有名人たちに愛された。スカットル付近のエアアウトレットがZ3に受け継がれている。

だが実際にはE36/5という型式を与えられた3シリーズ・コンパクトが直接的なベースモデルとなっている。

E36はリアに新開発のマルチリンクサスペンションを装備していたが、現在の1シリーズの直接的な祖先となる3シリーズ・コンパクトは、コストダウンのため(日本で販売されるBMWとして初めて300万円を切る価格設定がされていた)E30譲りのセミトレーリングアームを採用していた。プラットフォーム自体もE36とE30を混ぜ合わせたものが採用されていたのである。

Z3の後継モデルであるZ4の中身は最新のBMWスポーツカーとして作り込まれており、Z3より1クラス上のプライスタグを掲げている。

だが1代のみでZ4という名称に変わってしまったZ3は、どちらかといえばシンプルであることに徹したモデルに見える。

それはなぜか?

ひとつ目のキーワードは前述の「北米」であり、もうひとつが90年代初頭にマツダ・ロードスターが発掘したマーケットを狙ったものだからである。

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