【地味な1980年代のセダン】プジョーとフィアット、クライスラー 前編

公開 : 2019.12.22 07:50  更新 : 2020.12.08 10:56

米、仏、英とスペインのクオーター

今回の取材で街なかを走っていると、通行人から「ヒルマン・アベンジャーですか?」 と聞かれた。2リッターはほとんど見かけないし、ヒルマンは同じルーツ・グループの企業だった。技術者のロイ・アックスがどちらも手掛けたことを考えれば不思議はない。

だが40年前の英国では、スペインのマヨルカ島でバカンスを過ごしたことのある人より、クライスラー160のタクシーに乗ったことのある人の方が多かったはず。

クライスラー2リッター(1973年〜1981年)
クライスラー2リッター(1973年〜1981年)

タルボ・タゴラは1981年に2リッターへと置き換わるが、英国で残存しているクルマは2台だけらしい。その1台を、2台のタゴラも所有するトニー・オーウェンが大切に乗っている。アルピーヌやシムカ1100、クライスラー・ハンターなどのオーナーでもあるエンスージァストだ。

オーウェンがアメリカとイギリス、フランス、スペインのクオーターといえるクルマに興味を抱いたのは、1984年に1978年製180を手に入れたことがきっかけ。25年後のいま所有する2リッターは、オーウェンが3オーナー目だという。

もともとは英国コベントリーを拠点とするクライスラーUKによって所有されていた個体。ショールームに並ぶ2リッターは顧客の目を引くハンサムなクルマだったが、モデル末期となると、その古さを製造現場では感じるようになっていた。10年前の番組の再放送を改めて見るように。

車内をぞのくと、1970年代のデトロイト風ダッシュボードにも関わらず、ATのセレクターがステアリングコラムから伸びていないことに驚く。クライスラー160/180/2リッターのシリーズは、フランスよりも英国でよく売れた。

新しさを感じるベルトーネ・デザインの132

かといって台数は限られてはいたが、快適でスムーズな走りと、動くリビングルームのような居住性は評価も高い。もしクライスラー自体も開発予算を投じていれば、装備も良くなり、より高い人気も獲得できたかもしれない。

1978年仕様のフォード・グラナダGLには、集中ドアロックやパワーステアリングが装備されていたのに、2リッターには備わっていない。それでも、トヨタ・クラウンが欲しくても予算不足の紳士にとっては、当時は十分納得できるクルマではあった。

フィアット132ベリーニ(1973年〜1981年)
フィアット132ベリーニ(1973年〜1981年)

2リッターと比較すると、ベルトーネが手掛けたフィアット132のボディデザインはやや新しさを感じる。当時フィアットは「本物のスタイルと気品、センスを備えた」 クルマだと表現している。

フィアット132の発売は1972年5月。1968年に製造が終了していたテールフィンの付いた1500Lや1800、1972年までの125と入れ替わるモデルだった。発売当初のエンジンは1592ccか1760ccの2種類で、端正なボディデザインと充実した装備は高い評価を集めた。

ブレーキのアシストが強すぎると批判もあがったが、どうやら英国だけの話らしい。今回の試乗車を持ってきたオーナーのジェームズ・ニコルソンによれば、「右ハンドル仕様へ変更したことによる弊害だと思います」 と話している。

フィアット132が英国に上陸したのは1973年。1974年にはマイナーチェンジを受け、大きい窓とサスペンションの変更を得ている。その3年後、132のフラッグシップ・モデルとなる2000が登場した。

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