【全世界100台限定】ゴードン・マレーT50 テスト走行披露 超軽量スーパーカー

公開 : 2021.03.16 19:45  更新 : 2021.03.17 13:48

マレーが手がける空力デザイン

後輪駆動のT50は、マクラーレンの先代モデルと同様、ジェット戦闘機のようにドライバーをキャビンの中央に配置している。サイズはミニ・カントリーマンに似ており(ポルシェ911より小さく、アルピーヌ110より軽い)、1.85mのボディ幅を増やさないようデジタルサイドミラーを採用しているため、狭い場所でも高い操作性を発揮するはずだ。

スタイリングは、マレー自身がデザインチームのリーダーとなり、すべて社内で行われた。コンパクトなサイズ、アローヘッドのフロントパネル、ルーフに取り付けられたエアスクープ、二面体のドア、サイドガラスに採用された「チケットウィンドウ」など、その形状は明らかにF1を参考にしているが、さらに小柄に見せるための努力がなされている。

T50のプロトタイプに乗るゴードン・マレー氏
T50のプロトタイプに乗るゴードン・マレー氏    ゴードン・マレー

優美なフロントエンドとは対照的に、リアエンドには大型のエキゾースト、エンジンルーム冷却用のメッシュ、巨大なアンダーボディ・ディフューザー、400mmのファンなど極端な機能性が備わっている。このファンは48Vの電気システムで駆動し、ボディ下の空気の流れを急激に加速させることでダウンフォースを発生させる役割を担う。マレーは、これが「ロードカーのエアロダイナミクスのルールブックを書き換えるもの」だと言う。

ファン、ディフューザー、そしてボディ上部後縁のダイナミックなエアロフォイルを組み合わせることで、自然界のシステムよりもはるかに大きなダウンフォースを発生させ、これまでのスーパーカーでは考えられなかったレベルのコーナリンググリップを実現している。

空力モードは6つあり、そのうち「オート」と「ブレーキ」は車速とドライバー操作に応じて動作する。その他のモード(ハイダウンフォース、Vマックス、ストリームライン、テスト)は、コックピットから選択できる。

ハイダウンフォースはその名の通りだが、ストリートラインはファンをフル回転させ、上面と下面のアクティブフラップを格納することで「仮想ロングテール」を構築する。Vマックスは、V12にクランクマウントされた30psのスタータージェネレーターをフル回転させ、3分間のバーストでパワーを追加する。

240km/hを超えると、ルーフに取り付けられたインダクション・エアスクープにより、エンジンの最大出力は約710psにまで引き上げられる。

スイス時計のように精緻なインテリア

圧倒的な室内空間もT50のテーマの1つだ。マクラーレンF1はもちろん、現代のライバルよりも広く、フロアがフラットになったことでセンターシートへのアクセスも容易になっている。ジェット戦闘機をイメージしたアナログスイッチや計器類は比較的シンプルだが、スイス時計のような品質を誇る。

サイドに設置された2つのラゲッジは、F1と同様に広々としており、トップロードも可能だ。200万ポンド(3億円)を超えるコレクターズカーとなるが、日常的に使えるものであるとマレーは確信している。

ゴードン・マレーT50
ゴードン・マレーT50    ゴードン・マレー

「T50は完全なロードカーとなります。だからこそ、パッケージングとラゲッジスペースの新たな基準を打ち立てたのです。乗降性、荷物の積載性、耐久性、整備性、サスペンションのセットアップなど、あらゆる面でF1を凌駕しています。また、選択可能なエンジンマッピングにより、あらゆる状況に応じたドライビングモードを実現しています」

開発中、チームが最も多くベンチマークしたスーパーカーは、実は28年前のF1だったとマレーは言う。それは、自然吸気のV12エンジンとマニュアル・トランスミッションスを搭載した、超軽量でセンターシートのスーパーカーという同じ条件のクルマを、これまで誰も作ろうとしなかったからである。

車両重量はわずか986kgと言われており、これはマレーが「平均的なスーパーカー」と呼ぶクルマの約3分の2の重量である。重量をコントロールするためには、単に新しい素材を使うだけではなく、意識を変えていく必要があるとマレーは考え、設計チームは毎週のようにミーティングを行っていた。

カーボンファイバー製チューブシャシーの重量は、全パネルを含めても150kgに満たない。ナット、ボルト、ブラケット、ファスナーなど、約900個の部品が軽量化のために個別に精査されている。

エクストラック社製の横置き6速MTは、新しい薄壁鋳造技術を用いて設計されており、F1のトランスミッションよりも10kg軽量となっている。一方、コスワース製V12は、F1に搭載されていたBMW由来のエンジンよりも60kg軽量化されており、フェラーリのものと比較しても大幅に軽い。カーボン製のドライバーシートで7kg、助手席でも3kgの軽量化が図られている。

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