【詳細データテスト】フォルクスワーゲンID.3 広いが質感不足の室内 過不足ない走り 総じて満足

公開 : 2021.04.11 20:25  更新 : 2021.05.01 16:07

操舵/安定性 ★★★★★★★☆☆☆

加速性能に関していえば、ID.3は明らかにメカニズムの仕立てに成功している。ハンドリングには、よりRRレイアウトらしさが表れていることを期待するだろう。ところが、おかしなことにそうなってはいない。

ひとつには、フォルクスワーゲンの運動性における意図的なチューニングがある。これについてはあとで説明しよう。

RRレイアウトから想像するようなクセはないが、これは重いバッテリーをホイールベース内に積んだことによる適切な重量配分が一因。扱いやすいクルマだが、走りを楽しめるものではない。
RRレイアウトから想像するようなクセはないが、これは重いバッテリーをホイールベース内に積んだことによる適切な重量配分が一因。扱いやすいクルマだが、走りを楽しめるものではない。    LUC LACEY

しかし、もうひとつの理由として、EVに共通することだが、電気モーターの配置場所がどこであろうと、バッテリーに比べれば、全体的な重量配分に及ぼす影響が小さいことが挙げられる。

ID.3のバッテリーは、ホイールベース内のフロア下に、均一に配置されている。ミルブルックでの計測で、前後重量配分がほぼ50:50の等分だったのは、このレイアウトによるところが大きい。

そのため、このクルマのハンドリングは、一般的なハッチバックにきわめて近い。後輪駆動でありながら、それを運動性のアドバンテージとして存分に利用できていないし、そうしようともしていない。

実際、ID.3のようなやや短く背が高いハッチバックは、RRレイアウトによりハンドリングに妥協を強いられるものだ。ところが、このクルマはそうなっていない。

ID.3のハンドリングは円熟味があり予測しやすいものだが、やや退屈でもある。エコタイヤを履いているものの、連続するカーブで飛ばしても果敢に路面を捉え、定常的なアンダーステアに十分逆らってくれる。

また、スムースな路面では、ボディコントロールもちゃんとしたものだ。裏道のようなところでの乗り心地はやや忙しないが、つらくやっかいに感じるほどではない。それでも、車重やサスペンションが気をつけるべき横剛性ははっきり感じ取れる。

ステアリングは軽いが精確で、一定のペースで切るとおとなしくなりはじめるが、切りはじめは活発で、市街地での取り回しがしやすい。かなり直感的に位置決めできて、必要な場面ではかなりの高速安定性も発揮してくれる。ただし、ドライバーを夢中にさせてくれるような走りは持ち合わせていない。

関連テーマ

おすすめ記事

 

フォルクスワーゲンの人気画像